薬効植物としてのマンドレイク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 10:24 UTC 版)
「マンドレイク」の記事における「薬効植物としてのマンドレイク」の解説
マンドレイクは地中海地域から中国西部にかけてに自生する。薬用としては Mandragora officinarum、M. autumnalis、M. caulescens の3種が知られている。ともに根にヒヨスキアミン、トロパンアルカロイド クスコヒグリンなど数種のアルカロイドを含む。麻薬効果を持ち、古くは鎮痛薬、鎮静剤、瀉下薬(下剤・便秘薬)として使用されたが、毒性が強く、幻覚、幻聴、嘔吐、瞳孔拡大を伴い、場合によっては死に至るため現在薬用にされることはほとんどない。複雑な根からは人型のようになるのもあり、非常に多く細かい根を張る事から強引に抜く際には大変に力が必要で、根をちぎりながら抜くとかなりの音がする。この音が伝説のマンドラゴラの叫びの部分を、その毒性が叫びを聞いた者は死ぬといった逸話の由来と思われる[独自研究?]。 春咲きの種(M. officinarum)と秋咲きの種(M. autumnalis)があり、伝説では春咲きが雄、秋咲きが雌とみなされたらしい。通常の『旧約聖書』あるいは『創世記』『雅歌』では恋なすびとも訳され、湯浅信之はジョン・ダンの詩で出るマンドレイクを「恋茄子」と訳している。 雲南省、チベット、四川省の標高3000m地帯に生息する、曼柁茄(M.caulescens)は、根が胃薬の材料とされている。 仏法典に出てくる「曼荼羅華」やチョウセンアサガオの別名「マンダラゲ」とは全く関係がない。また、アメリカやカナダで Mandrake といえばポドフィルム(メギ科、和名:アメリカハッカクレン)のことであり、これもまた全く別属別種の薬用植物である(区別のために「アメリカン・マンドレイク」(American Mandrake)と呼ばれることはある)。 南方熊楠は、『本草綱目』に「押不蘆」の次に曼荼羅華がある点から誤解される旨を指摘し、「マンドラゴラは薬だがマンダラゲは毒」として区別しているが、アト・ド・フリース『イメージ・シンボル事典』、ジャン・シュヴァリエ『世界シンボル大事典』(930頁)、大プリニウス『博物誌』(1085頁)では、「MANDRAGORA」「MANDRAKE」「MANDRAGORE」の訳語が、「マンダラゲ」である。
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