葛藤社会と自殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 11:14 UTC 版)
詳細は「韓国の自殺」を参照 京郷新聞によると、韓国は夫と妻、親世代と子世代など他者との無限競争が日常化された能力主義社会であり、「世代葛藤」が「世代戦争」と呼ばれるまでになっている。OECDが2018年1月に発表した「2017生活の質(How's life)」レポートにて、韓国では社会生活の中でさまざまな紛争を経験したことがあると回答した割合が34%で、調査対象国のうち1位であった。特に韓国で「事業と雇用」の問題と「隣人と住居環境」問題に紛争を経験した割合はそれぞれ他国よりも高く、もっとも主要な韓国の日常葛藤要因となっている。さらに困難時に頼れる家族や親戚、友人などの人間関係があると答えた割合が全OECD加盟国の最下位だった。生活の満足度も10点満点中5.9点で、OECD最下位だった。京郷新聞は職場でも帰宅後の家庭でも、大小の葛藤と争いにストレスを受けることは多いにもかかわらず、他者からの支援は受けにくい社会だというのが調査結果でも表れたと報道している。 韓国では自殺率が年々増加し続けており、2003年から2019年まで、2017年にリトアニアに抜かれた以外は一貫してOECD加盟国中ワースト1位の自殺率であり、2019年の自殺率は10万人当たり26.9人であった。日本や韓国では若い韓国の芸能人の自殺がしばしば報道で取り上げられるが、むしろ他国と比べて自殺率が際立って高いのが高齢者である。2018年時点の韓国の高齢者貧困率は43.4%でOECD加盟国中最悪で、加盟国平均の14.8%や日本の19.6%よりはるかに高かった。これは韓国の社会保障整備が長らく未熟であり、公的年金制度が開始されたのが1988年、国民皆年金制度が整備されたのが1999年であったため、高齢者は掛金を支払った期間が短く、年金受給資格がないか受給できても少額に過ぎず、困窮せざるを得ないためである。例えば、2019年時点で受給可能年齢に達した人のうち実際に受給している人の割合は41.6%にすぎなかった。これらの要因もあって、政府支出に占める社会保障の割合はOECD加盟国中で最下位である。 若者のあいだでは、一向に解消されない財閥企業への一極集中により就職難や格差問題が続いている。2015年ごろから韓国のSNSでは若者を中心に「ヘル朝鮮」という言葉が流行語になり、韓国内外の複数のマスコミにも報道される事態となっている。
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