色絵五艘船図大平鉢〈伊万里/〉
主名称: | 色絵五艘船図大平鉢〈伊万里/〉 |
指定番号: | 2577 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1997.06.30(平成9.06.30) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1口 |
時代区分: | 江戸 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 伊万里の独楽【こま】形をなす大形の色絵鉢である。白磁質の素地で高台の畳付きを除いて全面に透明釉を掛ける。胴は浅く開き口縁は低く垂直に立ち上がり底には高台を低く削り出す。内面には見込みと左右に窓をあけて蘭船【らんせん】を配し、地紋は菱格子に菊花文とし窓絵の間には牡丹をあしらった紋章風の文様を挟んで相対する二人の阿蘭陀【あらんだ】人が四組描かれる。口辺は内外とも四方に窓をあけて宝尽【たからづくし】文を描き、間に小さくあけた窓に瓔珞文を配し地文は菱格子に花菱文とする。外には二方に窓をあけて蘭船を配し、間の二方には二人の阿蘭陀人を内に配した赤玉文を、それらの間には牡丹唐草文を描く。文様は染付と赤の上絵具に金彩を加える。高台の内には赤で縁取りした「壽」字を金彩で表し口縁にも金彩を廻らす。高台内に五箇所の目跡が残る。 伊万里は江戸時代初期に現在の佐賀県有田の地で日本で最初に磁器を焼造した窯業地の別称で、染付磁器を中心に青磁・白磁などを生産した。さらに十七世紀中ごろ(一六四〇年代)には色絵磁器をも開発し、万治二年(一六五九)に始まるオランダ東印度会社による伊万里の大量買い付けにより大きく技術的発展を遂げ、十七世紀末の元禄年間には技術的にも様式的にも完成の域に達した。 この作品は俗に古伊万里型物と呼ばれる国内向け最高級色絵磁器の鉢で、内外面に合わせて五艘の阿蘭陀船が描かれることから五艘船と称される。染付と赤・黒・緑・紫の上絵具に金彩を加えた文様は細やかで的確に描かれ、行き届いた描写と巧緻で華やかな賦彩の上絵は優れた作行を示し、国内向け色絵磁器を代表する優品である。古伊万里型物は元禄年間(一六八八-一七〇四)に焼造が始められたと考えられているが、阿蘭陀船や阿蘭陀人の文様は十八世紀以降に多くみられる。本作品も地文様に形式化の様相が認められることから十八世紀前半の作と考えられる。 |
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