船の概要と特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 07:26 UTC 版)
インディアマンは17世紀から19世紀にデンマーク、オランダ、イギリス、フランス、スウェーデン、ポルトガルなど、ヨーロッパ各国の東インド会社において、運用された船舶の総称である。 インディアマンは乗客貨物両方を乗せ、また海賊から自身を守るために武装していた。当初、インディアマンは帆走のスピードよりも、できる限り多くの荷物を運ぶことを主眼として建造された。東インド会社が独占的にインドや中国との貿易行っていたことが、このデザインの理由だった。重い大砲を備えるためにインディアマンの船体は、大抵の同時期の戦闘艦と同じように、上甲板よりも喫水線のあたりの方が幅広くなっていた。上甲板の大砲をより船の中心線に近づけ、復元力を増す構造となっていたからである。この構造はタンブルホームとして知られている。インディアマンは通常2層の完全な甲板を船首と一段上がった船尾楼甲板の間に備えていた。船尾楼甲板とその下の甲板には窓がはめられた船尾楼があった。そして船尾楼の重さを支えるため、船体のラインは船尾に向けてずんぐりとしていた。この船体ラインの特徴は帆走速度の低下をもたらしたため、インディアマンの貿易船としての欠点となり、重武装する必要性が薄れた後期の船では次第に採用されなくなった。 インディアマンは18世紀後半から19世紀にかけて建造された最大級の商船であり、一般的に1,000トンから1,400トン前後だった。1795年にはデトフォードでアール・オブ・マンズフィールド(Earl of Mansfield)とラッセルズ(Lascelles)という、最も巨大なインディアマン2隻が建造された。英国海軍はこの2隻を購入し、各々ウェイマス(HMS Weymouth)とマドラス(HMS Madras)と名前を変えて56門の4等艦に改造した。船体の全長は約53メートル(175ft)、その内竜骨は44メートル(144ft)、幅は13メートル(43ft)、喫水は5メートル(17ft)で1,426トンを誇った。イギリスではエリザベス1世が1600年に貿易独占権を東インド会社に与え、この独占は1834年まで続いた。この東インド会社は事業範囲をイギリス本国とインドの間の貿易以上に拡大したが、インディアマンとは主に17世紀から19世紀初頭にかけて、その貿易事業で用いられた船を指す。
※この「船の概要と特徴」の解説は、「インディアマン」の解説の一部です。
「船の概要と特徴」を含む「インディアマン」の記事については、「インディアマン」の概要を参照ください。
- 船の概要と特徴のページへのリンク