航空便への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 10:24 UTC 版)
「2010年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火による交通麻痺」の記事における「航空便への影響」の解説
航空便が発着するヨーロッパ各国では、領空が封鎖され、全ての空港が閉鎖される地域と、部分的にフライトを認め、空港も一部運行している地域に分かれた。これにより航空網に世界的に混乱が生じ、観光・物流・各種イベントなどにも影響が波及していった。 航空便に乗れない乗客が、世界中の空港ターミナルビルで寝泊まりしており、使える空港を求めて、南ヨーロッパに陸路で向かう旅行者や代替交通手段を使おうとする旅行者などで、ヨーロッパ各地の鉄道やフェリーも混乱した。 ヨーロッパでは、2010年4月17日だけで1万6000便、4月18日には2万便が欠航となり、4月15日からの飛行制限は約6万3000便となった。国際航空運送協会によると、航空会社の損失は1日あたり2億ドル(日本円換算約180億円)(1万6000便として)であるという。 世界気象機関(WMO)は、4月16日の会見で「数週間にわたり火山灰は大気中を漂い、火山の噴火が終わるまで飛行の再開のメドは立たない」と述べ、事態の長期化を示唆した。英国気象庁は「火山灰はあと1週間英国上空に留まるだろう」と述べた。しかしエールフランスKLMとルフトハンザが試験飛行にも成功したことから、飛行再開への希望が出てきた。 4月19日に、欧州連合はテレビ会議による緊急運輸相理事会を開き、20日朝(現地時間)からの航空路の段階的再開を決定した。しかし噴火の見通しがはっきりしないことと、NATOのF-16戦闘機のエンジンにガラス状の灰が付着していたことから、具体的な計画は未定で、楽観は許されなかった。 各国のメディアは、9.11アメリカ同時多発テロ事件時を上回る航空業界への影響や、第二次世界大戦後で最大規模の航空便の停止という表現で、この噴火の被害の大きさを伝えている。航空業界のコンサルティング会社は、こうした全便欠航が3日間継続した場合の経済損失は10億ドルにも及ぶと推計しており、運航規制解除後も航空便のスケジュール回復に時間がかかるとしている。国際航空運送協会(IATA)は1日当たりの世界の航空業界の損失を1億4800万ユーロ(2億ドル)と推計した。
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