自然回復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 00:27 UTC 版)
「谷戸沢廃棄物広域処分場」の記事における「自然回復」の解説
環境改善の措置と保全が毎年行なわれ、広葉樹とススキ野原を中心とした自然環境の復元が進んでおり、現在では国蝶のオオムラサキや、国内で絶滅の恐れがあるカヤネズミ、コサナエなどの生息が確認されている。また、谷戸沢処分場下流に生息するゲンジボタルを保全するための河川渇水対策として沢水雨水を溜める貯水池(清流復活の池)が造られ、2013年よりヘイケボタルが確認される。貯水池においては、葦やヤゴの保全が施されたビオトープが設けられる。またこの貯水池ではカワセミの飛来やカイツブリの営巣がみられるなど水辺環境の保全が行なわれている。トウキョウサンショウウオの保全は谷戸沢から敷地境界を越えたあきる野市山域まで広域な環境保全が行なわれている。2011年よりオオムラサキの放蝶会が毎年行なわれ、谷戸沢の自然回復を体験できる環境学習内容が設けられている。オオムラサキをテーマにした学習会は6月下旬から7月上旬まで実施され、多摩地域の小学校、一般見学者が参加できる。 近年では野鳥の観測が重点的に行なわれ、コチドリ、ホオジロ、キビタキ、ノスリ、フクロウの営巣と繁殖が確認されている。春季ではサシバの飛来、冬季ではルリビタキ、オシドリなどの季節鳥の生息が確認されている。処分場内は鳥の巣箱が設置され、自然環境との調和について毎年調査報告が行なわれている。2016年にフクロウによる営巣が確認された。フクロウを含めた自然回復に関する生態系の観察は、廃棄物処理施設としては先行した取組であったため、NHKなど複数の報道機関で、その内容が取り上げられる。フクロウ営巣用に設置された巣箱は、秋期から冬期にかけては、ムササビによる活用が確認されている。自然回復の定量的な観測として、巣箱に着目した生態移動の観測について、最終処分場の計画設計当時から継続して行われている。また、季節ごとの最新の知見については、見学者を対象とした説明会や、地元地域への定期的な報告などを通じて、学術機関と連携した報告も行われている。
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