美術・色彩・撮影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 04:02 UTC 版)
美術のコンセプトは「2.7次元を表現」。「写真のようなリアルではなく、デフォルメのあるデザイン調のものでも無く、その間」が目指された。また、色彩のコンセプトは「落ち着いた自然な色遣い」。 色指定のこだわりの一例として、小学生時代の将也はビビッドさを表現するため黒地のTシャツの色も濃い一方、高校時代は気づかない程度に薄く、洗濯による劣化が見られる。色移りがしたような服もあり、劇中で遊園地に行くシーンでは赤みがかかったものを着ている。また瞳の色に関して、硝子の瞳の中に将也の瞳の色と同じ緑色が「差し色」として使われている。涙の色についても、シーンやキャラクターに応じて様々な色が使用されている。 撮影については、「レンズの処理」についてが特に重要視され、山田監督や撮影監督の高尾らでディスカッションが繰り返された。また、撮影処理のコンセプトとしては「自然現象をCGに置き換えること」を取り上げ、水面であれば作画的表現に寄せ、一方木漏れ日であれば光をあえて円形にすることでイラストに見せるような工夫などがなされた。 印象的な画面の色みや美しい背景について、山田監督は以下のように述べている。 この子たちは明日を生きるのも辛そうなくらいすごく悩んでいますよね。でも一歩引いて見た時に、その子たちがいる世界ごとはそんなに絶望感がある訳じゃない。ちゃんと生命は宿っていてお花は咲くし、水も湧くし。彼らがいる世界全てが悩んでいたら嫌だというか、彼らがパッと見上げた空は絶対に綺麗であって欲しいと思ったんです。水だったり空気だったり生命だったり根源的なものは、前向きな感情を持って描きたかったので「ちゃんと綺麗なものとして描こう」と思っていました。あと、見ている方的にも居心地の良い映画でありたいという思いがありました。 — 山田尚子
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