続篇の構想とは? わかりやすく解説

続篇の構想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 09:56 UTC 版)

カラマーゾフの兄弟」の記事における「続篇の構想」の解説

作者自身による前書きにもあるとおり、当初の構想では、この小説は、それぞれ独立したものとしても読める二部によって構成されるものであった。しかし、作者の死によって、第二部第一部13年後の物語)は書かれることなく中絶した続編に関しては、創作ノートなどの資料がほとんど残っておらず、友人知人宛てた手紙に、物語わずかな断片記されているのみである。ドストエフスキー本人は、続編執筆への意欲手紙書き表していたが、その3日後に病に倒れた残され知人宛への手紙では、「リーザとの愛に疲れたアリョーシャテロリストとなり、テロ事件嫌疑かけられて、絞首台へのぼる」というようなあらすじ記されあったらしいが、異説出されている。この説を裏付ける要素として、ドストエフスキー序文で、アリョーシャ本編から受ける印象とは全く異なる「奇人とも呼べ変わり者活動家」と評していることが挙げられる。 この評は、1866年4月4日起きた皇帝アレクサンドル2世暗殺未遂事件犯人ドミトリイ・カラコーゾフ(ロシア語版英語版)に一致する革命家ピョートル・クロポトキンは、拷問受けた体で絞首台上ろうとするカラコーゾフの凄惨な姿を、現場居合わせた知人からの伝聞として回想録の中で強い印象をもって記している。カラコーゾフは、出版直後ニコライ・チェルヌイシェフスキー長編小説何をなすべきかロシア語版英語版)」の影響受けていた。この事件は「ヴ・ナロード運動」の先駆土地と自由(ロシア語版英語版)」に影響与えピョートル・ラヴロフらの機関紙前進 Вперёд』の宣伝勢力拡大し1879年組織化されて「人民の意志」が結成されると、1881年3月13日党員イグナツィ・フリニェヴィエツキ(英語版)によって、アレクサンドル2世暗殺された。 一方で亀山郁夫もその著書『「カラマーゾフの兄弟続編空想する』の中で、アレクセイその将来心配されたコーリャ少年成人して思想家テロリストとなり、皇帝暗殺謀り、その嫌疑アレクセイが受けるというものではないか推測している。 いずれにせよ実際に書かれることのなかった続編内容を我々が知ることは不可能である。それでも、20世紀の日本代表する文芸評論家小林秀雄もこの小説を「およそ続編というようなものがまったく考えられぬほど完璧な作品」と評している。

※この「続篇の構想」の解説は、「カラマーゾフの兄弟」の解説の一部です。
「続篇の構想」を含む「カラマーゾフの兄弟」の記事については、「カラマーゾフの兄弟」の概要を参照ください。

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