経済学:金融資本論
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「オーストリア・マルクス主義」の記事における「経済学:金融資本論」の解説
経済学において、ヒルファーディングをはじめとするオーストリア・マルクス主義派はナショナリズムを帝国主義の出現の重要な要素ととらえ、保護主義政策と領土拡張主義の関係を重視した。 1904年、オーストリア学派のベーム=バヴェルクが限界効用理論の立場からマルクスの労働価値説を批判すると、ヒルファーディングはマルクスの労働価値説を資本主義社会の運動法則を発見するための武器と見なす立場から反論するとともに、あわせて労働価値説の観念性を主張しつつ限界効用学派との折衷をはかるベルンシュタイン派に対しても批判を行った(転形問題論争)。 続いてヒルファーディングは、資本主義の発展の新局面すなわち帝国主義化の理論的把握にむかい、帝国主義的展開を資本主義の発展能力の証明とみなし資本主義の崩壊からプロレタリア革命へという戦略を捨て議会を通じて漸進的改良を主張する修正主義を批判の対象とした。と同時に彼は、資本主義の新形態を単なる過渡的混乱とみなす「マルクス護教派」のカウツキーの理論も批判した。ヒルファーディングは主著『金融資本論』(1910年)において、眼前に展開する経済現象をマルクスの理論体系の内に取りこむことを試み、独占資本と金融資本の形成という2つの現象形態をとる資本の集中過程を分析し、金融資本の支配をもって資本集中の最高度の形態と考えた。そしてこれが階級関係における生産の社会統制の確立をもたらし、経済の中央集権化・組織化・計画化など「組織」の面で社会主義を準備すると展望し、社会主義革命の必然性(および社会主義への平和的移行)を結論づけたのである。さらに後述するバウアーらの民族理論の影響を受け広域経済の優位を主張した。
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