組織犯罪の撲滅
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薄熙来が就任して1年以上が経った2009年7月10日より、重慶市人民政府(中国語版)は組織犯罪に対する対策に乗り出した。2009年以来、推定5700人もの犯罪者、または汚職や警察との癒着により起訴された会社員や警察官、裁判官、政府高官、及び政治的敵対者を抜本的に逮捕した。この活動に際して、薄熙来が以前働いていた遼寧省の警察署長と、副市長である王立軍が重慶市公安局局長と武装警察第一政治委員として任命され、監督した。2010年5月1日現在、この活動により組織犯罪に関わる4871人が逮捕され、14人が殺害されたと発表されている。汚職の疑いのある警察官や、政府高官の数人も逮捕された。 しかし、この活動は正当な法的手続きを無視し、法の支配の原則を侵害しているとして批判された。『ウォールストリートジャーナル』のStanley Lubmanは、「裁判所と警察の両方を誤用した活動」と記述している。活動の標的となった個人は、当局により恣意的に拘束され、推定1000人が強制労働に従事させられた。被告人の弁護士は威圧され、なかでもとある一人の弁護士は18か月の懲役刑を宣告された。自白を引き出すための拷問の疑惑も浮上した。さらには標的とされた人々の多くは犯罪者ではなく、公営住宅政策のための資金調達を目的に資産を押収されたとも伝えられている。 また、この活動には市内での大規模な監視業務の開始も含まれていたとされている。警察署長である王立軍は、国営のプロジェクトとして「インターネット通信を網羅した包括的な監視システム」の設計を務めた。このシステムには、盗聴、盗撮、インターネット通信の監視が含まれ、『ニューヨークタイムズ』によると、地元の犯罪者のみならず、中国の有力な指導者間のコミュニケーションも監視された。2011年8月、胡錦涛と監察部長である馬馼との間の電話が薄熙来の命令により盗聴されたことが判明し、中央規律検査委員会による厳しい調査をもたらした。これは2012年の薄の没落の一因にもなった。
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