竜五銭銀貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 15:37 UTC 版)
「日本の銀貨#明治6年改正補助銀貨」も参照 品位:銀80%、銅20% 量目:1.348g 直径:15.151mm 図柄:竜図(阿竜)、年号、「大日本」、「5SEN」(表面)、菊花紋章、菊枝と桐枝、「五錢」(裏面) 周囲:平滑 発行開始:1873年(明治6年) 1873年(明治6年)の新貨条例の改正に伴い発行された貨幣。量目が貿易用一円銀貨と比例関係になるように改正されており、実測の直径も縮小されている。国際化時代に即応するよう、表面に「5SEN」とアラビア数字とローマ字による額面金額が入っている。同時に制定された竜五十銭銀貨・竜二十銭銀貨・竜十銭銀貨とは同様のデザインであり、量目も比例関係にある。 竜図が復活しているが、これ以降の硬貨では、極印の材質が変更され硬度が保てるようになり、新しい英国製の圧印機を使用することにより、明治3年銘の硬貨のような不明瞭な出来の硬貨はなくなった。しかしながら、やはり直径が小さすぎて使い勝手が悪く不評だったため、他の竜銀貨が貨幣法制定後もしばらくは製造され続けたのに対し、竜五銭銀貨は実質的には1879年(明治12年)で製造は打ち切られてしまい(実際には1878年(明治11年)・1879年(明治12年)は明治10年銘で製造されているので明治11・12年銘は存在しない)、1889年(明治22年)の菊五銭白銅貨の発行までは、五銭硬貨は製造されなかった。『明治財政史』には、1877年(明治10年)から1897年(明治30年)9月までの間に流通不便貨幣として回収・鋳潰しの対象となった貨幣として、五銭銀貨・二銭銅貨(直径が大きすぎるため)・天保通宝・文久永宝の4種が挙げられており、五銭銀貨については主に1880年(明治13年)と1881年(明治14年)に回収・鋳潰しされている。 流通用としては明治6~10年銘の5種の年銘が発行されており、このうち明治7年銘は特年となっている。以下のような手替わりが見られる。 明治6年銘 - 普通品・跳明 明治8年銘(全て跳明) - 普通品・止銭 明治9年銘 - 普通品・跳明・止銭・跳明止銭 明治10年銘 - 普通品・半跳明 また、この他に流通用としては製造されず、極めて少数のみ製造された年銘として、明治13年銘と明治25年銘がある。このうち前者は記録上79枚のみ製造され現存数は数枚と推定され、後者はシカゴ博覧会用に2枚のみ製造されている。 現存数が少ないものから多いものへと順に旭日竜五銭銀貨、旭日大字五銭銀貨、竜五銭銀貨となるため、古銭的価値はその分下がることになるが、竜五銭銀貨でも各種の五銭白銅貨よりは古銭的価値が高く、また他の竜銀貨類よりも現存数が少ない分高い。
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