竜ヶ水付近の土石流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:37 UTC 版)
「平成5年8月豪雨」の記事における「竜ヶ水付近の土石流」の解説
鹿児島市吉野町の花倉地区にあった花倉病院では裏山で発生した土砂崩れが直撃し、巻き込まれた入院患者と避難住民の15人が死亡する惨事となった。その後、花倉病院は1年にわたって休診となったが、病院は鹿児島市吉野町の高台に移転新築された。旧病院は、取り付け道路が非常に狭く重機の搬入や解体した廃棄物の搬出が困難なことと、建物を撤去した場合地盤が崩壊する恐れがあるとされているなど、諸般の理由により解体されず閉鎖されたまま現在も災害当時のまま残されている。 鹿児島市北部の竜ヶ水駅付近では、沿線約30か所で土石流が発生した ため、鉄道、道路共に完全に孤立し、自動車約800台に乗車していた者と竜ヶ水駅に停車中だった上下線の普通列車3両の乗客の合わせて約2,500名が取り残された。この中には前述の8.1豪雨による土石流により通行止めとなっている九州自動車道を迂回するため、国道10号を通行している自動車も多くいた。 また、姶良郡溝辺町(現在の霧島市溝辺地域)にある鹿児島空港から鹿児島市内の鹿児島県庁に向かっていた当時の鹿児島県知事である土屋佳照も竜ヶ水で孤立した自動車に乗車しており、災害対策本部に対して船による救助を車載電話で指示し、孤立者の救助の後に鹿児島県の漁業取締船で鹿児島県庁に向かった。 孤立した人の中には土石流に巻き込まれ鹿児島湾に投げ出される人もいた。また、日豊本線の竜ヶ水駅で立ち往生した旅客列車が土石流に巻き込まれて大破した。ただし、乗客は乗務員の指示により、避難の最中に構内を襲った土石流により亡くなった乗客三名を除き、全員助かった。。なお、当時避難救助活動に従事した乗務員のうち運転士一名が、二週間後喘息発作が原因で亡くなり、最終的に労災が認定された。 孤立した住民や通行人、土石流に巻き込まれ鹿児島湾に投げ出された者は、近隣の漁船や桜島フェリー、海上保安庁の巡視船によって海上から救出された。このときの救出の様子が、偶然現場付近で銀行強盗の検問中だった警察官二人を中心にNHKの『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』(2001年9月18日放送)や、フジテレビの『奇跡体験!アンビリバボー』(2010年9月16日放送)に取り上げられた。またTBS系「報道30時間テレビ」でも南日本放送の報道記録として紹介されている。 「吉野 (鹿児島市)#平成5年8月豪雨」および「竜ヶ水駅#1993年8月6日の水害による影響」も参照 国道10号はその後しばらく通行止めとなり、復旧後この区間には雨量計が設置され連続総雨量が200mm以上になると通行が制限されるようになった。日豊本線鹿児島駅 - 国分駅間は同年9月18日まで不通となり、加治木港からの船舶やバスによる代替輸送が行われた。
※この「竜ヶ水付近の土石流」の解説は、「平成5年8月豪雨」の解説の一部です。
「竜ヶ水付近の土石流」を含む「平成5年8月豪雨」の記事については、「平成5年8月豪雨」の概要を参照ください。
- 竜ヶ水付近の土石流のページへのリンク