移民の子どもたちと国外追放
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/31 23:58 UTC 版)
「移民政策」の記事における「移民の子どもたちと国外追放」の解説
その移民制度改革法案を通したいオバマ側と阻止したい米国議会との対立が激化していた。オバマ側の主張は、暴力や貧困を逃れるために中央アメリカ諸国から米国のメキシコとの国境へやってくる子供達を、人道上の観点から米国に受け入れるというものだった。国境線地域にやってくる何千という子供達を見れば、政治的議論を捨てて移民制度改革に着手する必要性が理解できるはずだとオバマは述べた。しかしながら米国への移民を希望する中南米の子供達の数の急激な増加は、危機と呼ぶにふさわしい事態となっている[誰?]。 8年間続いたジョージ・ブッシュ政権下での不法移民の国外追放者数は200万人であったが、オバマ政権では6年目にして既にほぼ同じ数の国外追放を行っている。そして子供達の国外追放に関しては、法的に時間を要する。それらの子供達を法的聴取もなしに国外追放のためのバスにのせることはアメリカ合衆国憲法の観点から不可能だとコーネル大学教授であるスティーブン・イェールレーは述べる。 合衆国憲法が定めるところでは、米国内のあらゆる人はその人が米国民か外国人かどうかについての法の適正な過程という権利を有する。アラバマ州選出の共和党議員マイク・ロジャースは、オバマ政権はそれら子供たちを国外追放させるためのバスにのせることはできないだろうと述べる。法的聴取とその結果を待つ間、子供達は暑く窮屈な拘留所で生活する。その数は日を追って増加していく。また、それらの子供達への法的聴取をするための公的職員をよりメキシコ国境地域に派遣するのであれば、ほかの地域のマンパワーが減ることを意味していて、それは一種のゼロサムゲームになりかねない。ゆえに皆がその法的聴取を速やかに遂行するには、米国議会に相応の財政支出が求められる。 移民政策についての政治活動家らの要望もあり、オバマは国外追放の対象者を深刻な犯罪歴のある不法移民や、国家安全保障上の脅威となる渡航者などに限定して適用するという方針を示したが、これは共和党から非難をうけた。米国下院議長のジョン・ベイナーは、米国議会はこの移民制度改革法案の2014年度中の成立を阻止すると述べた。「米国民と米国の代議士らは、この移民制度改革法案が仮に成立した場合、その法に忠実にオバマが移民政策を実行するとは信じていない」とベイナーは述べた。 その他の共和党議員は、国境地帯にやってくる中南米の子供達にオバマ政権がそれらの国外追放に猶予期間を与えたことで、他の中南米の子供達に誤った希望をあたえてしまい、それが彼らの越境に拍車をかけているのだとオバマ政権を非難した。 移民政策の専門家は、オバマ政権の移民容認姿勢が中南米の子供達の越境をあおってしまったことを示唆する強い証拠があると述べた。
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