神立の所以
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/05 00:53 UTC 版)
婚配機密は正教会における他の機密と同様、神が立てたものとされる。 創世記1:27 - 28に「神乃己の像に從ひて人を造り、神の像に從ひて之を造れり、之を男女に造れり。神彼等を祝して曰へり、生めよ、殖えよ、地に充てよ、之を治めよ、又海の魚と獸と、天空の鳥と、家畜と、全地と、地に葡ふ所の諸の昆蟲とを宰れ。」、創世記2:23 - 24に「アダム曰へり。是れ乃我が骨の骨、我が肉の肉なり、此れは女と名づけられん、男より取られしを以てなり。是の故に人は其父母を離れ、其妻に着きて、二の者一體と爲らん。」とあるが、これらの記述(男女の創造、出産の祝福、一体となる男女の関係の祝福)は、男女の婚配が神の制定によるものであり、男女の婚配が人が神に創造された時に由来するものであるとされる。これらの男女の祝福に係る文言は、人の陥罪以前に起きていることであり、結婚が罪の結果行われるものではないことを示しているとされる。 ノイ(ノア)とその家族が救い出された洪水の後、人類は罪の結果に服する状態にあったが、それでも創世の時のように、神はノイの家族と子孫繁栄を祝福している(創世記9:1)。 モイセイ(モーセ)に与えられた律法においても、婚配の結合を守る条項が設けられている(レビ記20:10、申命記7:14、22:22、28:11)。 男女の愛を歌う雅歌は、聖師父達によって比喩的・神秘的に解釈され続けてきたが、文字通りの意味も失ってはいない。 新約においては、イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)が創世記を引用し、夫婦が一体となることに言及している(マトフェイ福音(マタイ福音)19:4 - 6)。またガリラヤのカナにおける婚宴で、水を葡萄酒に変える奇蹟を起こしたと書かれている(イオアン福音(ヨハネ福音)2:1以下)。 神が婚配を定めた理由として正教会では以下が挙げられる。 人類を増殖保護するため(神の教会のため子を生み養育することも含まれる)(創世記1:27 - 28) 互いに助け合うため(創世記2:18) 人の陥罪の後には、以下の理由が付け加わった。 情欲を節制するため(コリンフ(コリント)前書7:1 - 2、7:8 - 9) 以上のように、婚配は自ら聖であり潔いものであるが、陥罪の影響により情欲に溺れた人によってその意義が損なわれたことにより、イイスス・ハリストスは婚配を聖にし高尚にし堅くするため、教会に婚配機密を定めたとされる。
※この「神立の所以」の解説は、「婚配機密」の解説の一部です。
「神立の所以」を含む「婚配機密」の記事については、「婚配機密」の概要を参照ください。
- 神立の所以のページへのリンク