社会的統合とは? わかりやすく解説

社会的統合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:05 UTC 版)

外国人労働者」の記事における「社会的統合」の解説

ヨーロッパ諸国において、従来受け入れ国は外国人労働者について、一時的な滞在想定していた。しかし彼らの滞在長期化さらには家族呼び寄せなどによる定住化傾向見せ新たに様々な社会問題引き起こすようになったそのような中、自国において外国人労働者どのような地位与えるか、既に国内にある外国人コミュニティをいかに地域コミュニティ組み入れて行くかという方策、すなわち「社会的統合」が検討されるようになった。(注意:この場合において、「社会的統合」は同化政策意味するものではない。) まず初期段階においては搾取防止や、適正な労働環境整備あげられる。これらは短期就労においても重要である。 次に地域住民とのあつれき防止や、住宅問題などがある。言葉が通じないにおいては滞在長期化するにつれて次第同国同士コミュニティへの依存度を高め傾向見られるが、こうしたこと自体周辺社会対す無言の圧力にもなる。 外国人労働者住宅確保することは、各種証明などで困難を伴うことが多い。また非熟練労働者などは家賃が低い地域に集まる傾向があり、こうした場合地域社会とのあつれきはさらに強まる。適切な対応を行なわなければスラム化の危険が高まる。家族呼び寄せたり現地結婚するなどして定住化すると、子供教育問題発生する言語能力が低いと学校は対応に苦慮し現地民の苦情よせられることが多い。さらには年金などの社会保障や、法的地位をどの程度認めるかといった問題がある。 これらの対策適切に行なわないまま外国人労働者流入定住化進んだ場合、彼らを社会的な底辺追い込み結果として犯罪過激な思想・宗教走りやすいと考えられている。ただしこれらの統合政策を行うならばかなりの社会的コストを伴うのは必至である。 社会的統合の理念対す反発も強い。ヨーロッパで1990年代において、高失業率にもかかわらず多く外国人労働者流入し排外主義高まっていった。特にドイツではネオナチグループに限らず一般若者までが外国人労働者コミュニティとの間で衝突起こし死傷者を出す事件起きている(ゾーリンゲン事件など)。在住する外国人中において階層化進んでいることも大きな問題となっている。言語能力違いなどが原因となって社会統合されていく層と取り残される層の二極化進んでいる国も多い。こうした中、2005年にはロンドン同時爆破テロ発生した背景について不明な部分も多いものの、イスラム移民系による犯行は社会的統合プロセス大きな疑問投げかけた。また、同じく2005年には2005年パリ郊外暴動事件発生している。

※この「社会的統合」の解説は、「外国人労働者」の解説の一部です。
「社会的統合」を含む「外国人労働者」の記事については、「外国人労働者」の概要を参照ください。

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