知識論法とは? わかりやすく解説

メアリーの部屋

(知識論法 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/22 06:37 UTC 版)

メアリーの部屋(メアリーのへや、Mary's Room)またはスーパー科学者メアリー(スーパーかがくしゃメアリー、Mary the super-scientist)とは、フランク・ジャクソンが「随伴現象的クオリア」"Epiphenomenal Qualia" (1982)、さらに「メアリーが知らなかったこと」"What Mary Didn't Know" (1986) という論文の中で提示した、哲学的思考実験である。この思考実験は、性質二元論または中立一元論の立場から物理主義(心的なものも含む宇宙は全て物理的なものであるという立場)に対して展開されるもので、しばしば知識論法(Knowledge Argument)とも呼ばれる。この思考実験が発表された後に出来した議論がまとめられ、『メアリーに首ったけ』"There's Something About Mary" (2004) として公刊された[1]。これには、ダニエル・デネットデイヴィド・ルイスポール・チャーチランドなどの回答も採録されている。


  1. ^ "There's Something about Mary," Bradford Books, 2004. ISBN 0262122723
  2. ^ デイヴィッド・チャーマーズ著 林一訳 『意識する心』 第五章 現象判断のパラドックス pp.221-263 勁草書房 2001年 ISBN 4826901062
  3. ^ Paul M. Churchland "Knowing Qualia: A Reply to Jackson" in The Nature of Consciousness, edited by Ned Block, Owen Flanagan, and Guven Guzeldere, Massachusetts Institute of Technology, 1997, page 572. (オンライン・ペーパー)
  4. ^ Nordby, Knut (1990). "Vision in a complete achromat: A personal account". In: R.F. Hess, L.T. Sharpe & K. Nordby (eds.), Night Vision: Basic, Clinical and Applied Aspects, Cambridge ; Cambridge University Press, p. 290-315 (Chapter 8) ISBN 0521327369 Full text
  5. ^ オリヴァー・サックス(著) 吉田利子(訳)『火星の人類学者』「色盲の画家」pp.41-80 早川書房 2001年 ISBN 9784150502515
  6. ^ 同書 pp.189-190


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知識論法

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メアリーの部屋」の記事における「知識論法」の解説

つぎに、メアリーが何か新しいことを学ぶとしたら、物理主義誤っていることになる。とくに、心的な状態については物理的な説明ですべて事足りる、と主張する物理主義者には手痛い打撃となる。メアリーが色を知覚するということについての全ての科学的知見持っていたとしても、赤を見たことがなかったとしたら、赤を見るという体験がどんなものかを知ることができるであろうか。ジャクソンは、メアリー自身経験通して新しいことを学ぶのであり、それゆえ物理主義誤っている、と主張する。そして次のように述べる。 メアリー世界世界を見るという経験について新しいことを学ぶのは紛れもなく明らかであると思われる。そうであれば、彼女の以前知識不完全だった言わざるをえない。しかしメアリーすべての物理情報持っていたのであるそれゆえすべての物理情報事足りることはなく、物理主義誤っているのである。 ただし、ジャクソン論文中で攻撃対象としている物理主義とは、すべての正しい)知識物理的事実についての知識のみであるとする認識論的な意味での物理主義であってあらゆる事物物理的であるとする存在論的な意味での物理主義ではない。

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