相原中学のケース
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「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「相原中学のケース」の解説
2013年10月20日には、相模原市からの委嘱を受けて相原中学柔道部の外部指導者として、対外試合の際にはヘッドコーチを務めていた男性指導者が、自身が館長として運営する道場で部員に平手打ちなどの暴力を振るっていた疑いが浮上した。そのため、相模原市教育委員会や神奈川県柔道連盟が具体的な調査に乗り出すことになった。相原中学柔道部の部員23名全員がこの道場に所属しており、そのうちの22名が寮生活を送っているが、8月から9月にかけて全柔連や相模原市教育委員会に体罰の訴えがあったことから、無記名によるアンケート調査を行ったところ、3名の部員から練習中に平手打ちをされたり、軽く蹴られるなどの暴力を振るわれたとの回答があった。もう1名からは「(体罰に関して)言うなと言われている」との回答も寄せられた。それに対して館長は「試合前や練習中に気合を入れる意味で背中や尻を軽くたたくことはあるが、決して体罰ではない」と反論した。一方、教育委員会側は「不適切な行為。今後一切ないようにしてもらいたい。」と館長に改善を求めたものの、「不適切な指導だが、体罰ではない」との見解も合わせて示した。部員の保護者からはこの件を非難する声が上がっておらず、アンケートに回答した部員も被害を深刻に捉えてはいないという。体罰を受けたと回答した3名も、後の追加調査では「体罰と思っていない」と回答したという。なお、相原中学柔道部の部員は2010年10月まで約20年間も所属道場のみで練習しており、学校での部活動は行わずに対外試合の時だけ相原中学の名の下で出場していた。しかし部外者から「公立中学校の部活動の姿としておかしい」との指摘を受けると、教育委員会側は「部活動の指導を道場に丸投げしていた。不適切だった」として、校内での練習を指示した。その後、2012年になって校内の柔剣道場が改修されると、週2日そこで練習するようになった。 10月22日に相模原市市長の加山俊夫は教育委員会側が今回の一件について「学外活動であり部活動ではない」と説明したことに対して、「(館長らを)外部指導員として委嘱している。部活動の一部。」との認識を示すとともに、「市教委や学校はもう少し注意を払い、入り込んだ指導が必要だったのではないか」との苦言を呈した。また、2009年12月には道場での練習試合の際に、警察官の男性コーチが当時2年生だった男子部員に平手打ちを加えて、左耳の鼓膜が破れるケガを負わせていたことも明らかになった。しかし、教育委員会側はこの事実を認識しておらず、2010年10月に外部からの通報で事の次第を知ったが、道場側が再発防止を約束したので委託を継続させていたことも判明した。一方、この日に館長は教育委員会側に「お騒がせして申し訳ない」と、外部指導員を辞任する意向があることを伝えた。 11月9日には保護者会が開かれると、館長が「不適切な指導があった」と謝罪して、コーチの警察官とともに外部指導員の辞任を表明すると、11月13日に教育委員会が正式に両者の辞任を受理した。多くの保護者からは「柔道で上を目指す子供に配慮してほしい」と留任を求める声があがったものの、辞意を撤回しなかった。今後は道場での指導のみで、校内や練習試合での指導はできなくなる。しかし、外部指導者の資格がなくても申請次第で大会会場に入ることは認められるという。 12月6日に全柔連は、昨年9月から12月にかけて寮生活の乱れなどを理由に男子生徒2名と女子生徒1名に数回平手打ちしたとして、館長とコーチの警察官をそれぞれ6ヶ月と3ヶ月の会員登録停止処分にしたことを公表した。停止期間内に全柔連主催の大会に生徒を引率することは出来ないが、道場での指導は認められる。
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