直線または多項式曲線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/06 18:54 UTC 版)
「曲線あてはめ」の記事における「直線または多項式曲線」の解説
まず、次のような1次多項式を考える。 y = a x + b {\displaystyle y=ax+b\;} これは、傾斜 a の直線である。一般に、このような直線はx座標の異なる2点によって一意に定まる。したがって1次多項式は、x座標の異なるデータ点がちょうど2個ある場合に、正確にそれらを通る直線となる。最小二乗法を使う場合には、データ点が何個あっても、最適な直線が一意に定まる。ただし、最適な直線とは、残差平方和が最小というだけで、そのデータの素性を最もよく表しているとは限らない。 次数を上げて2次多項式にすると、次のような式になる。 y = a x 2 + b x + c {\displaystyle y=ax^{2}+bx+c\;} この場合、x座標の異なる任意の3点に当てはめることができる。 さらに次数を上げて3次多項式にすると、次のような式になる。 y = a x 3 + b x 2 + c x + d {\displaystyle y=ax^{3}+bx^{2}+cx+d\;} この場合、x座標の異なる任意の4点に当てはめることができる。 より一般化すれば、4つの「制約」を正確に満足する、と言える。制約は点だけでなく、角度や曲率(接する円の半径の逆数)などもある。角度や曲率の制約は曲線の端に設定することが多く、それを端末条件 (end condition) と呼ぶ。多項式曲線を連結したスプライン曲線が滑らかな曲線となるには、連結する両方の多項式曲線で端末条件を同一にする必要がある。より高次の制約として、例えば「曲率の変化率」といった制約を与えることもある。これは例えば、クローバー型インターチェンジで通行する自動車にかかる力を決め、制限速度を決定するのに役立つ。 また、1次多項式は1つの点と角度の制約に当てはめることができ、3次多項式は2つの点と1つの角度、1つの曲率の制約に当てはめることができる。他にも様々な制約の組み合わせで各種次数の多項式を当てはめることができる。 n + 1 個より多い制約があるときでも(n は多項式の次数)、それらを満足する多項式曲線を描くことができる場合がある。例えば3つの点が同一直線上に並ぶような配置であれば、1次多項式を正確にあてはめることができる。しかし、このような配置は例外的であって稀である。通常は全制約を正確に満足することは期待できない。よって、一般には近似度を評価する方法を必要とすることになる。最小二乗法は最も一般的な方法である。 ここで、なぜ近似ではなく多項式の次数を高くして正確に当てはめようとしないのかという疑問が生じる。それには、以下のような理由がある。 正確な一致が存在するとしても、それを計算できるとは限らない。使用しているアルゴリズムによっては計算が発散してしまって解を求められなかったり、非常に時間がかかることがある。 データそのものに誤差がある場合、各点を正確に通る曲線よりも近似的な曲線の方が好ましい場合がある。 ルンゲ現象が起きやすい。n次多項式曲線の変曲点の数は最大 n-2 である。したがって、一般に次数が低いほうが曲線はより滑らかになる。次数が高くても滑らかな曲線にすることは可能だが、次数が低い方が簡単である。 ここまで、多項式の次数が制約数より少ない場合を述べてきたが、逆に多項式の次数が制約数より大きい場合はどうなるだろうか。上述の高次多項式の問題が全て生じることになるだけでなく、解が一意に定まらないという問題も生じる。そこから1つの曲線を選択するのはソフトウェアや人間の役割となる。このため、近似でよい場合は次数をなるべく低く設定するのが一般に最善とされている。 「多項式補間」も参照
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