目的・歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 02:43 UTC 版)
船員保険は、船員又はその被扶養者の職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付と併せて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする(第1条)。 1939年(昭和14年)の船員保険法制定により、ほぼすべての社会保険部門(年金、医療、労災、失業)を有する船員のための総合社会保険制度として発足した。背景には戦時体制への移行が始まった中で、戦時徴用された商船乗組員は軍人並みの危険を伴う任務に就くことが想定されるためこれに見合う社会保障制度が求められる面があったといわれる。 その後、種々の改正やILO条約の批准等を経て、昭和40年代半ばをピークに加入者数の減少が続き制度運営は厳しさを増したことから、職務外年金部門は1986年(昭和61年)に厚生年金へ、職務上疾病・年金及び失業部門は2010年(平成22年)に一般の労災保険と雇用保険にそれぞれ統合された(職務上疾病・年金に関する給付については、労災保険制度に相当する部分を労災保険制度から給付することとし、それではカバーできない部分については、引き続き船員保険制度から給付することとされた)。この結果、現在は医療保険部門と船員保険独自の給付のみが残っている。また2013年(平成25年)の改正により、職務上の傷病であっても労災の対象とならない場合は、包括的に船員保険の対象とすることとした。 保険者は全国健康保険協会(第4条1項、以下「協会」と略す)である。かつては社会保険庁であったが、2009年(平成21年)の廃止により協会が新たな運営主体となった。協会が船員保険事業について行う事業の内容については全国健康保険協会#組織を参照。
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