白木扇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/15 21:07 UTC 版)
通常は25橋からなり、檜柾目材によって作られる。綴じ糸は白を1本使用。五位以上は親骨にかざりをつける。これは元来白い綴じ糸の余りを花などのかたちにして貼ったものともいうが、近世では白平絹(羽二重なども可)に白糸で家紋の形を縫った。綴じ糸による「一筆がき」風にはできないが、糸による線で紋を描くため、極力糸を生地にくぐらせないで留めていく「置紋」の方法を使う。なお若い人はこの家紋の周辺に唐草を貼り付け、長飾りと称した。老人は一切置紋を使用しない。六位以下は紋は貼らない。天皇は菊花紋章を置紋にして40歳頃未満は長飾りをつける。以後は菊のみ。こうしたしきたりの根幹は鎌倉時代後期には成立していた。鎌倉時代にはさらに略式の23橋の扇もあった。古い遺品は京都大学に儀式次第を墨書した中世のものが残る。 近代は天皇は年齢にかかわらず長飾りつきの菊の置紋、皇族は菊のみ、即位での臣下のうち、奏任官・高等官以上は五七桐、伊勢神宮では飛鶴が用いられた。年齢による差はない。 要は原則として紙縒りによる元結留。四つ目に結ぶ。現在では鋲留めが多いが、近世では僧侶の扇などに例がある。 なお特例として近世の天皇の神事用の扇がある。白木25橋で白蜷飾りがつき、銀の蝶鳥金具を要につける。置紋や糸花はない。閉じて蜷飾りを巻いて懐中する(旧儀御服記ほか)。また僧侶の檜扇は宗派により形式の違うものが使用された。白木で総角(揚巻)結びの飾りのついたもの、鋲を要に使うものなどが多い。
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