男寺党の芸能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/29 00:56 UTC 版)
出し物は、プンムル(풍물、風物、農楽)、ポナ(버나、皿回し)、サルパン(살판、曲芸)、オルム(어름、綱渡り)、トッペギ(덧뵈기、仮面劇)、トルミ(덜미、人形劇)の6つである。 風物(プンムル・ノリ)とは、四物(サムル)と呼ばれる4つの打楽器を中心に行われる演奏で、農楽ともいう。三韓時代から農耕に関する巫俗儀式の楽曲として伝わったものを演戯用に再構成したものである。興業の最初に行われ、法鼓(ポクク)を打ち鳴らしながらアクロバティックに踊りつつ行進する。最後に三層舞童と呼ばれる櫓を披露する。 皿回し(ポナ)は皿やたらいを長い棒やキセルなどを軸に回す芸である。皿回しの演技者とメホシと呼ばれる道化二人が漫談をしつつ皿を回した。また、かつては同時に妖術(オルルン)という芸も披露されたが、廃れてしまい今は見られない。 軽業(サルパン)は前転・後転・逆立ちなどの体術を楽士の伴奏とともに披露する芸。演技者とメホシの掛け合いを交えつつ行われる。 綱渡り(オルム)は演技者とメホシの掛け合いを交えつつ、綱の上で歌ったり踊ったりと様々な技を披露する。演技を始める前に演技の無事と観客の幸福を祈願する儀式が行われた。 朝鮮の仮面劇には複数の流れがあるが、男寺党の仮面劇(トッペギ)の特徴は儀式性・行事性が薄く、1幕4場の洗練された構成となっている。平民目線からの両班と平民の葛藤をテーマにした娯楽的な社会劇が基本となっていた。 人形劇(トルミ)は興業の最後に行われた。男寺党の人形劇は韓国で唯一の民俗人形劇と言われる。主人公の妻の名をとって「コクトゥカクシ・ノルム」、または暴れ者の登場人物「洪同知」の名をとって「ホンドンジ・ノルム」とも呼ばれる。2幕7場、40数個の人形が登場し、楽士の一人(サッパジ)と人形が対話する形で進行する。狂言回しの「朴僉知(パクチョムジ)」の視点を通して、支配階級や僧侶、悪妻など抑圧的な存在を笑い者にする内容である。 男寺党の演目には支配階級に対する風刺や批判が多く込められていたため、娯楽の少なかった民衆には楽しみとなったが、当の支配階級からは憎悪の対象となっていた。そのため、公演開催を拒否されることも多かった。また、地元の風物演者にとって、玄人である男寺党の演ずる洗練された風物は大きな刺激となっていた。
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