用語と語源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 22:03 UTC 版)
セイズ (seiðr) の語源は不明である。 しかし古高ドイツ語(ドイツ語 Saite の頁を参照。楽器の弦にも弓にも使う)と古英語の関連語は、‘cord, string’, ‘snare, cord, halter’ につながる。スカルド詩『ラグナル頌歌』の韻文15には、この意味で「セイズ (seiðr)」の語を使用した1行がある。しかし、この語源がどのようにセイズの施術と関わるのかは明らかでない。古代北欧の文献や魔法に関する伝承では、誘引の紐の使用がセイズに関わりがあると示唆されており、それによれば誘引は、セイズの施術の要素の1つである。しかし、もしセイズが「糸巻の護符」に関連するのなら、亜麻や羊毛を紡ぐ際に使う道具である糸巻棒が、セイズの術に関連すると思われることの説明になる。 「セイズ (seiðr)」と同族の古英語の単語 siden, sidsa は両方とも、エルフ (ælfe) に使われたという示唆が文脈から読み取れるだけである。これらは、セイズに類似した何かを意味していると思われる。魔術を行う者を意味する古英語の単語は wicca(男)、wicce(女)で、これは現代英語の witch の語源である。 セイズには呪歌 (galðrar, galðr) の呪文と、おそらくは円を描くような舞踊を伴う。セイズの術者は主に女性ヴォルヴァ (völva, seiðkona) であるが、男性の術者(Seiðmaðr, セイズマズル)もいる。 女性の術者はヴァイキングのコミュニティにおける宗教的指導者であり、通常、神々や精霊を呼び出すには、他の術者の援助を必要とした。セイズの儀式には、女性霊媒は必要ではないが、コミュニティの女性たちの精神的な関与が求められ、コミュニティは協力に努めた。『赤毛のエイリークのサガ』を初めとするスカンディナヴィアのサガに描かれるように、女性術者は詠唱と祈りを通じて精霊と通じていた。ヴァイキングの文献によればセイズの儀式は、固有の危機に際し、未来を見通し、敵をののしり、魔法をかけるための手段として用いられた。このようにセイズは、偉大な善のためにも、破壊的な悪のためにも、日々の導きとしても用いられた。
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