生産・流通技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 09:03 UTC 版)
垂下式養殖法 現在のカキ養殖は養殖筏から吊り下げてカキを養殖する垂下式養殖法が一般的になっているが、これは佐藤忠勇が開発した技術であるとする説があるが、佐藤より早く開発されていたとする異説が多く存在する。垂下式以前は潮間帯に竹製の棒を突き刺して、稚貝を付着させることで自然に成育するのを待つものであった。これに対し垂下式は、海中に稚貝を吊り下げて成育させるもので、当時の「潮間帯でしかカキは育たない」という常識を打ち破った。 近年は垂下式養殖法を改良し、一度海水から成熟した貝を引き上げて良いものを選別し、筏から吊り下げた網かごの中に再びカキを入れて養殖している。 産地直送方式 当時、カキ出荷時は真水にカキを浸していた。これではカキが水を吸ってしまい、風味が落ちてしまう。また市場を通せば、時間がかかるので鮮度が落ちる上、価格が上がってしまう。 近年は高級ブランドと認識され市場価格よりも高値で取引される的矢かきであるが、新鮮で良い商品を速く安く届けるためにホテルやレストランと直接契約し、海水に浸けて出荷する産地直送方式を導入することになった。近年は約700の取引先のほか、個人消費者にも産直方式での販売を行った。 紫外線滅菌浄化法 的矢かきの名を知らしめた技術であり、多くのメディアによって紹介されている。 技術開発のきっかけは前述の通り「日本のカキは不衛生だから、食べないように」という言葉である。佐藤はまず、当時欧米で主流となっていたカキの浄化法を調べることから研究に着手した。すると、さらし粉やハイポ(チオ硫酸ナトリウム)で消毒していることが判明した。これではカキ本来のうま味を台無しにしてしまうと考え、薬品を用いない浄化法を検討した。カキには1時間に17-20Lの海水を体内に通過させて餌をとり、20時間で体内の細菌や汚れを吐き出す習性があることがわかり、この性質を利用し紫外線を1分間照射した海水の中に20時間入れて滅菌する紫外線滅菌浄化法が考案された。なお、使用する海水は流水式で、カキが吐き出した汚水を再び吸収しないように工夫されている。後にこの技術は「みえのカキ安心システム」として三重県の生食用のカキの出荷の際の標準となり、浦村かきの浄化にも利用されることになった。
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