生物学・生態学上の指摘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 03:09 UTC 版)
「大造じいさんとガン」の記事における「生物学・生態学上の指摘」の解説
文中に霧島山系西端の栗野岳が登場することから、椋が執筆中に赴任していた鹿児島県が舞台とされている。具体的には、現・湧水町の三日月池と想定されている。しかし、戦前から鹿児島県でガン亜科の群れが毎年のように越冬した記録はない。同じカモ科でも、カモ亜科ならば鹿児島県下でも渡ってくる。舞台が現実の霧島山麓であれば、カモ亜科をガン亜科と錯誤または仮託したものと推測され[要出典]、生物学上の誤りとされる以下の指摘はおおむね解決する。 2年にわたり、大造じいさんはタニシを餌として罠を仕掛けるが、ガン亜科はほとんど草食性でタニシを食べることはほとんどない。マガン越冬地の宮城県蕪栗沼ではわずか1件の目撃例があるのみである。対するカモ亜科は、カルガモを好例として雑食傾向が強く、タニシも餌の一部となる。 囮ガンが大造じいさんの「肩先にとまる」ほど慣れているとする表現があるが、ガン亜科・カモ亜科を問わず、脚の形状から肩をつかむことは不可能である。もっとも、大造じいさんに慣れていることを暗示した慣用句・比喩表現である可能性はある。 ハヤブサは翼長120センチメートル程度を上限とする中型猛禽で、1.8キログラム以下の獲物を狩る。対するマガンは最大翼長165センチメートル、体重2キログラム以上に達する大型の鳥であり、ハヤブサの餌としては大きすぎる。ガン亜科としては、カリガネやヒシクイなどの中小型種であれば、ハヤブサが襲う余地はある。小型種が多いカモ亜科ならば、ハヤブサの餌としては最適である。マガンを実際に襲う猛禽としては、翼長2メートル前後に達するオジロワシが知られる。
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