生殖・哺育器官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:02 UTC 版)
育児囊(育児嚢、いくじのう、英: brood pouch, pouch marsupial、羅: marsupium) または 卵囊(卵嚢、らんのう) タツノオトシゴなどヨウジウオ科魚類の雄の体の腹面にみられる溝状または囊状の器官。卵または仔魚を育てる哺育器官である。卵は開口部を過ぎる時雄に受精し、雄は卵を受け取ると育児囊内に胎盤状の組織が発達し、表面が網目状になって一つの卵を収める。卵は40-50日で孵化し、仔魚は臍囊が吸収されるまで育児囊内にいる。その発達程度や位置は分類形質として用いられる。カミソリウオ類では雌にみられる。 交尾器(こうびき、英: copulatory organ) または 交尾器官(こうびきかん)、交接器(こうせつき) 交尾の時に精液を雌の体内に送り込むための棒状物。サメ類、胎生メダカなどにある。特に板鰓類のものは鰭脚と呼ばれる。鰭脚(ききゃく、クラスパー、英: clasper、羅: pterygopodium) サメ・エイ類の雄にある交尾器官。腹鰭の内縁が変化したもので、鰭骨格に由来する軟骨で強化されている。精液輸送のための溝を備え、交尾のとき雌の総排泄孔に挿入する。また、テングヘラザメは雌にも未発達の鰭脚が存在する(雌雄とも機能しない異性の生殖器を持っている)。 生殖突起(せいしょくとっき) 卵や精子を出す生殖器が単なる穴ではなく肉質の突起状になっている場合を言う。体内受精を行う魚類、例えばカサゴの仲間(フサカサゴ科など)では、成熟すると雄の突起は著しく伸長し、交尾器として働く。 泌尿生殖突起(ひにょうせいしょくとっき、英: urinogenital papilla) 輸尿管が生殖突起と癒合したもの。交尾の際精液を雌の生殖孔に向け放出する。 総排泄孔(そうはいせつこう、英: cloaca) または 総排出腔(そうはいしゅつこう) 消化管の終末部で、生殖輸管と輸尿管が同時に開く孔。軟骨魚類にみられる。 子宮(しきゅう) サメ類の輸卵管の膨大部。 胎盤(たいばん、英: placenta) 胚組織と母体組織とが密接に接着し、両者間に生理的な物質交換が行われている場合の両者の複合組織。卵黄囊胎盤(卵黄嚢胎盤、らんおうのうたいばん、英: yolk-sac placenta) 卵胎生のサメ類(Mustelus, Carcharis)の胚の卵黄囊の壁と子宮壁とが接着して形成される。 偽胎盤(ぎたいばん) 胎生硬骨魚類の一種(Heterandria)がもつ。発生が卵胞内で進行し、卵胞壁と心囊とが接着して形成される。 鰓胎盤(さいたいばん) 胎生硬骨魚類の一種(Jennynsia)がもつ。胚が卵黄腔内で発生し、卵巣組織が索状に伸びて鰓裂に侵入し、鰓に接着して形成される。
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