生殖に関する構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 15:13 UTC 版)
生殖にかかわる構造も菌糸から生じる。それらは大抵は限定成長をおこなってその先端に生殖のための構造をつけるので、その構造を支える柄と見なされ、そのように名付けられる。たとえばその構造が胞子嚢であれば胞子嚢柄(ほうしのうへい)、分生子であれば分生子柄(ぶんせいしへい)と呼ばれる。それらの構造は分類上の重要な特徴ともなる。 普通は菌糸の先端にそのための構造が形成され、そこに胞子を作るので、外生的に出芽したり内生的に形成されたりと様々であるが、より菌糸そのものから形成される場合もある。分生子においては、菌糸が形成された後、その菌糸の一部が胞子に変形することで形成される例がある。たとえばアレウリオ型といわれるものは、分生子はまず菌糸先端の細胞として形成され、その後に発達して胞子として成熟する。また、分節型といわれるものは、菌糸の先端の方から多数の隔壁を生じ、それらがバラバラになって胞子となる。このような型をまとめてthallicと呼ぶこともある。 この他、栄養菌糸の先端、あるいは介在的に一部が分断され、厚膜化して胞子のようになったものを厚膜胞子という。古くなった菌株で見られることもある。様々な菌群で見られ、比較的不規則で、分類形質としてはさほど重視されない。なお、菌糸そのものが切り離されることで増殖することも可能である。植物の株分けみたいなものであるが、一般的には菌類の培養における植え継ぎはこの方法で行われる。また、土壌よりの菌類分離法に、土壌中から菌糸を洗い出し、これを培養する方法がある。実際に土壌中で活動している菌類を探す方法として使われる。
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