琉球にとっての長崎商法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 23:47 UTC 版)
「薩摩藩の長崎商法」の記事における「琉球にとっての長崎商法」の解説
薩摩藩の長崎商法は困窮状態にあった琉球救援を名目として、琉球貿易によって入手した中国製品を長崎で販売する商法である。しかし薩摩側が思うような品物の入手が進まない現実もあった。琉球貿易では購入したい品物を扱う商人から直接商品を購入することは出来ず、福州の琉球館に出入りを許された「十家球商」と呼ばれる、決められた中国商人を仲介して品物を入手するシステムであった。この「十家球商」の資本力不足等で思い通りに商品が入手できないことも多く、結果として多く買い過ぎたり、少量しか購入出来なかったり、最悪の場合全く手に入れることが出来ない事態も発生した。また購入した品目の中でも品質面で問題がある場合もあった。また長崎商法で取り扱う商品は琉球貿易において必ず購買をするため、そのことを知っている中国側は価格を吊り上げるといった弊害も発生していた。 薩摩藩側は品質の良いものを購入するよう指示するとともに、買い過ぎ、不足等が発生した場合にはペナルティを課すなど事態の防止に努めた。しかし厳しくし過ぎた場合には危険を冒して買い過ぎ分を売り抜ける等、抜荷に走るリスクも上がることになる。実際問題、自家用の品物の輸入は認められていて、また渡唐役者たちは皆、貿易に対する意欲向上の意味合いもあって私的な貿易が認められていたので、どうしても監視の目をすり抜けて抜荷が行われるのを防ぎきることは出来なかった。 実際問題、薩摩藩の唐物商法に関係する荷物の積載量が増加して、これまでは渡唐役者たちの裁量で積荷が決められ、中国での売買を経て利益を得たものが、渡唐役者たちが腕を振るえる場面が著しく減少し、利益が挙げられない状況に陥っていた。しかも薩摩藩の唐物商法関連の琉球側への代金支払いは滞っており催促し辛い状況に陥っていた。にもかかわらず薩摩藩側は唐物商法を拡大させるために、積荷に唐物商法関連の品物をもっと多く載せようと圧力をかけていた。琉球側はそのような薩摩藩のやり方を「なにとも嘆かわしき次第」とまで表現していた。琉球の困窮状況は深刻であったが、唐物商法は琉球にとってマイナス面が大きなものであった。
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