特定の相手に対して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 05:34 UTC 版)
古くから行われてきた行為としては、乞食に憐れみをもって投げ与える金銭を指す、これを「投銭(なげぜに、なげせん)」という。また、その行為をも指す。日本語では、古来、与えられる側の呼び方で「お恵み(おめぐみ)」があった。他者からの恵みの一つの形である。 他方、乞食への「お恵み」と意味において地続きでありながらもポジティブな意味合いをもっているものが多い形に、大道芸人やストリートミュージシャンのように路上などでパフォーマンスをする人への称賛を兼ねた投銭もある。1878年発表の児童文学『家なき子』(エクトール・アンリ・マロ著)で描かれているような、貧民が生活手段として身に着けた大道芸で旅芸人として報酬を得る例は、芸を持たない乞食がひたすらに他者の慈悲を求めるのとは違って、パフォーマンスの対価を受け取っているわけであるが、始めた動機はと言えば、今日の明日のパンが買えないという、止むに止まれない、いわば"乞食寄り"のものである(右の画像の1点目も同様)。しかしながら、同じ路上パフォーマンスといっても、それを主業としていない人の自己表現としての路上パフォーマンスもあり、例えば、格式高い劇場のドレスコードにも引っ掛からない立派な礼服を纏った演奏家の路上ライブに対しても、ひっくり返して路上に置いた帽子などといった投銭の容器を表現者側が用意することで路上パフォーマンスの形を執る限りは、投銭が行われる(右の画像の2点目が該当)。 なお、路上パフォーマンスに対する投銭は、古来日本の演芸の世界で行われ続けている「金銭を紙に包んで渡す行為、および、その金銭」を意味する「御捻り/お捻り(おひねり)」と強く結び付いているように思われがちであるが、「御捻り」のほうは神仏に対する供物に起源があり、背負っている歴史が違う。洗った米や金銭という貴重品を白い紙に包んで捻った物を指していたのが、祝儀にも使うようになったものである。
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