演出写真説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 13:53 UTC 版)
藤岡信勝は、以前からある演出写真との批判に加え、画像及び映像に映る煙(マルコム・ロスホルトは「王が駅に着いたとき駅はまだ燻っていた」と書いていた)が印象を増大させる目的で撮影者により意図的に創作されたものであるとの主張を追加した。1999年、自由主義史観研究会は「中国の写真のやらせ」という記事を発表し、「この写真は男が演出のために赤ん坊を駅の線路に置いているところであり、そうやって写真を撮ってアメリカ読者の反日感情を煽ろうとしたものだ」と主張した。 また、東中野修道は中国国民党宣伝部撮影班であった王が写真も動画も撮った演出写真であるとし、その内容としては、まずザ・バトル・オブ・チャイナの24分07秒から24分10秒で映し出される男性が演出写真を撮るためにわざわざ線路を渡ってホームに赤ん坊を置き、「写真1」と「写真2」の演出写真を撮影したとしており、特に「写真1」に関しては、ホームに運んだ男性と、「写真2」の男性と、撮影者の王という少なくとも大人の男性3名がいながら、わざわざ赤ん坊を一人にして撮った演出写真であるとしており、また『激動・日中戦史秘録』には「写真1」の幼児のすぐ脇で小さな煙が確認出来、赤ん坊が突然、発煙筒の方向へ振り返り、その直後、煙の量が変化するシーンがあり「発炎筒が倒れ、赤ん坊がそれにおどろき振り返ったシーンである」とし、プロパガンダ写真である可能性が高いとしている。 藤岡らの主張に対してテッサ・モリス=スズキは、赤ん坊の画像と日本軍の上海南駅爆撃により中国の民間人が死傷した事実とを分けて考える努力を怠っていると批判し、爆撃の事実を明確な問題点とせずに、写真が演出されたプロパガンダであることを主張することによってより広範な歴史的事件に懐疑的な印象を与えようとしている、と批判した。 2009年、ポール・フレンチはこの赤ん坊は一人で線路の上に座って何をしているのだろうか、撮影者の王は動画も撮影していたというが長期間、赤ん坊が座っていることは可能なのか、と疑問を出している。
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