湘南色の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:04 UTC 版)
湘南色の始まりは、かつて東海道本線を走っていた80系まで遡る。同系列は1950年に当初からオレンジ色と緑色の塗り分けで運行開始されたが、それ以前の国鉄旅客車両の塗装が一般に客車も電車も「ぶどう色」と称される焦げ茶色1色のみで精彩に乏しかった中、同系列の派手な塗装は世論をわかせた。湘南色とその塗り分けパターンは、グレート・ノーザン鉄道の車両写真を見た島秀雄の意見がきっかけとなり、宣伝として目立つ色であり、また遠方からも識別容易であることからオレンジ色が、それに調和する汚れの目立たない色として濃緑色が選ばれた。しかし明るい色についての知見がなく小さい色見本で決定された当初の色はむしろ柿色に近く、サビ止め塗料かとの批判まであり、みかん色に変更された。この配色が「ミカンの実と葉の色にちなむ」というのは後付けの説明であるが、この他にも「神奈川県西部や静岡県地方特産のミカンとお茶にちなんだもの」といった沿線の風物に発祥しているとする解説がなされている場合がある。 また、その色合いから「かぼちゃ電車」「みかん電車」とも呼ばれる。 尚、湘南色及び同時期に明色化された横須賀線電車の塗色採用過程での試験塗装として、1949年末頃に横須賀線で運用されていた32系モハ32028を使用し、電気側側面を湘南色(本採用された色とは若干色調が異なる)、空気側側面と正面を横須賀色(スカ色)に塗装した実車試験が実施され、同車は一般乗客から「お化け電車」とあだ名された。 その後、国鉄は湘南色を直流電化区間の近郊型・急行型電車における車両制式色とし、地域に関係なく広く用いた。その背景の一つには、広域的な車両の転配属を考慮した国鉄が、塗装に至るまでの徹底した標準化を図っていたことが挙げられる。
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