氷河作用の影響を直接受けた地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 01:59 UTC 版)
「最終氷期」の記事における「氷河作用の影響を直接受けた地域」の解説
この時代は、およそヨーロッパ北部全域、カナダのほぼ全域と、西シベリア平原の北半分が巨大な氷床に覆われていた。北アメリカではその南限は五大湖周辺、東ヨーロッパではライン川の河口からクラクフ、ロシアではモスクワからアナバル川河口まで達していた。アイスランド全島、南部を除いたブリテン諸島も氷床に覆われていた。一方南半球では、パタゴニア氷床がチリ南部、南緯41度付近まで達した。チベットや、カシミール地方のバルティスタン(パキスタン北端部)とラダック(インド西北部)、アンデス山脈のアルティプラーノも氷床に覆われていた。アフリカ、中東、東南アジアでは小規模な山岳氷河が形成され、特にアフリカではアトラス山脈とバレ山地、東南アジアではニューギニア島に氷河が存在した。オビ川、エニセイ川は広大な氷床によってせき止められ巨大な湖が形成された。 永久凍土が、ヨーロッパでは氷床の南から現在のハンガリーのセゲドまで、アジアでは北京まで発達していた。しかし北アメリカでは標高の高いところ以外では氷床の南域に永久凍土は発達しなかった。 氷床に覆われた時期の北アメリカは現在の氷河地域のような気候であったが、東アジアやアラスカの一部は標高の高いところ以外は氷河化していなかった。この特殊な現象には3つの原因が考えられる。 寒流の親潮がベーリング陸橋に遮断されていたため、太平洋は大西洋より暖かかった。 現在の東アジアの降水量は夏に非常に多いが、冬はヨーロッパや北アメリカの同緯度と比べて極端に少ないことから、氷河が形成されるだけの降雪が起こらなかったと推測される。 東アジアには東西方向に高い山々が連なっているため、氷床の南下が妨げられた。
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