氷河と河川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 14:35 UTC 版)
ヒマラヤ山脈には非常に多くの氷河が存在し、面積は極地を除く地球上では最大である。ほかにおもな氷河としては、ガンゴートリー山系(英語版)のガンゴートリー氷河、ヤムノートリー(英語版)氷河、カンチェンジュンガ山系のゼム氷河(英語版)、エベレスト山系のクーンブ氷河(英語版)などがある。またカラコルム山脈にはシアチェン氷河、ビアフォ氷河、バルトロ氷河などがある。 ヒマラヤ山脈の麓は熱帯気候や亜熱帯気候に属するが、頂上部は万年雪に閉ざされている。これらの万年雪は巨大な2つの河川の水源となっている。西への流れはインダス盆地に流れ込み、インダス川はその西方水系の中でもっとも大きな河川である。インダス川はチベットでセンゲ川(英語版)とガル川(英語版)の合流地点から始まり、カーブル川、ジェルム川、シェナブ川、ビアス川、サトレジ川などの河川と合流したのち、パキスタンを南西方向に横切り、アラビア海に流れ込んでいる。 インダス川方面以外のヒマラヤ山脈の水源の多くはガンジス・ブラマプトラ川流域に流れ、両河川に合流する。ガンジス川はヒマラヤ南麓にあるガンゴートリー氷河に流れを発するバーギーラティー川(英語版)を源流としている。氷河の下からバギーラティー川が流れ出す地点はゴームク(牛の口)と呼ばれ、標高3,892メートルである。その後、下流でヒマラヤから流れ出したアラクナンダ川(英語版)と合流し、そこからガンジス川という名に変わる。アラクナンダ川のほうが長いが、ヒンドゥー教の文化や神話ではバーギーラティー川のほうが真のガンジスの源流であるとみなされている。その後、リシケーシュで山脈から離れ、ヤムナー川と合流したあと、北インドのヒンドスタン平原を南東に横切る。 ブラマプトラ川は、西チベットに発するヤルンツァンポ川が、チベットを東に流れ、アッサム平野を西に流れていく。ガンジス川とブラマプトラ川は、バングラデシュで合流し、世界最大のデルタ地形を形成して、ベンガル湾へ流れ出ている。 ヒマラヤ最東部の河川はエーヤワディー川を形成している。エーヤワディー川は東チベットから始まり、ミャンマーを南に縦断、アンダマン海に流れ込む。 サルウィン川、メコン川、長江と黄河は、ヒマラヤ山脈とは地質学的に区別されるチベット高原から始まるため、本来はヒマラヤ山脈を水源とする河川ではないと考えられている。一部の地理学者は、ヒマラヤ外縁水系の川と分類している。 近年、ヒマラヤ山脈の全域で顕著な氷河後退現象が観測されているが、世界的な気候変動の結果であると考えられている。この現象の長期的な影響は未知であるが、乾季の生活を氷河を水源とする北インドの河川に頼る数億の人々に甚大な影響を与えると見られている。
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