正装と勲章
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騎士団の正装は、”ローブ”と呼ばれるマント、帽子、頸飾から成り、騎士団の行事の際に着用される。そして、一般の正装の際は大綬章と星章を着用する。 ローブ 空色で白いシルクの裏地が張られている。星章(下記参照)を左側に付ける。ローブには青いフードがつけられている。 帽子 元々は白いサテンに青いラインが入っていたものであったが、ジョージ4世によって黒のビロードに変更された。帽子には赤、白、青3色の羽飾りがついていた。 頸飾 黄金製のハープとテューダー・ローズ(テューダー朝の白バラと赤バラ)が交互に繋がれている。テューダー・ローズは、赤の入った白(白バラ)と、白の入った赤(赤バラ)にエナメルで彩色されている。中央のハープの上には王冠が付き、下に記章が吊るされている。 頸飾 大綬章 下端部に記章が着いた青空色の大綬 (broad riband) を左肩から右腰へ襷状に掛ける。 記章 頸飾用と大綬章は同じデザインである。金で作られており、中央の聖パトリック十字の上に3つの王冠を運ぶシャムロック(アイルランドの国章)が配された。その周りは標語をマジェスキュール(文字全体の高さがあまり変わらない書体)で書き込んだ青い円で囲まれ、さらにローマ数字で騎士団の創立年 “MDCCLXXXIII”(1000+500+200+80+3=1783年)が書き込まれていた。 星章 騎士団の星章は八芒星の形をしており、それぞれのとげは光の束を表している。中央には標語と設立年が書かれ、記章と同じデザインになっている。星章は左胸にピン止めされた。 グランド・マスターの勲章は当初他の騎士と同じデザインであった。しかしウィリアム4世は1831年、グランド・マスターに対しルビー、エメラルド、そしてブラジル産ダイヤモンドが付けられたバッジと星章を与えた。これが後にアイルランドのクラウン・ジュエルとして知られたものである。それらは騎士用の頸飾5つとともに1907年に盗まれたことで有名であり、今も行方は分かっていない。 騎士団に関するいくつかの品物はアイルランド共和国と北アイルランドの博物館に収蔵されている。騎士団の122番目の騎士であるクロンブロック男爵ルーク・ディロン (Luke Dillon, 4th Baron Clonbrock) のローブはダブリンのアイルランド国立博物館 (National Museum of Ireland) に展示されており、第3代キルモレー伯フランシス・ニーダム (Francis Needham, 3rd Earl of Kilmorey) のものはニューリー博物館に収められている。ダブリンのアイルランド国立美術館 (National Gallery of Ireland) と系図博物館 (National Library of Ireland) はそれぞれ騎士団の規則を保有している。北アイルランドの国立博物館と美術館、アルスター博物館は多くのコレクションを展示し、さらに2枚のローブを収蔵している。なお、アイルランド近衛連隊は騎士団からキャップスターと標語を流用している。
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