次世代モデルの選定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:24 UTC 版)
「ロンドンタクシー」の記事における「次世代モデルの選定」の解説
ロンドンオリンピックを開催した2012年からは、ロンドンタクシーの次世代用車両導入に向けて、大手自動車メーカー各社がロンドン交通局に対し、それぞれ提案を行った。 日産自動車は、ロンドンタクシー用の日産・NV200バネット(1,600ccガソリンエンジン)を発表した。前輪駆動のNV200にロンドンタクシーとして使用できる旋回能力を与えるため、フェンダー拡大と前輪等速ジョイントの特殊設計を用いて、大柄な前輪駆動車では通常困難な3.8mの回転半径を実現していた。しかし「ロンドンのブラックキャブ」にはFX4以来のクラシカルなスタイルイメージが強固に定着しており、通常のミニバンにしか見えないNV200の外見には市民から大いに不満が寄せられた。このため日産はデザイン面でもよりロンドンタクシーらしく、丸型2灯ライトなどのリデザインを実施した新型モデルを発表。車種はニューヨークのイエローキャブと同じNV200バネットではあるものの、伝統の丸型2灯ライトを採用しているため、フロント周りが大きく異なっている。しかしながら、ロンドン交通局の新基準により、電気自動車として一度の充電で最低30マイル(約50km)を走行できる車両であることという要件が追加され、その基準に合わせる場合にコスト面で折り合いがつかなかったため、日産はロンドンタクシーへの自社車両の導入を断念した。 代わりに次世代タクシーの座を射止めたのは、ロンドンEV社(LEVC社)のLEVC TX(英語版)である。LEVC社は、それまで代々ロンドンタクシーを製造してきたLTI社の後継となる会社であり、親会社の吉利汽車が3億2500万ポンドの投資の元、コヴェントリー近郊に英国初となる電気自動車専用拠点を建設し、TXもそこで生産されている。 TXは旧来の黒塗装を引き継いだが、一番の特徴となるのはやはり電気自動車化されたことであり、搭載のリチウムイオン電池を満充電にした状態でおよそ130km走ることができる。もちろん有毒な排気ガスは一切排出しない。ロンドンタクシーのタクシードライバーは通常1日でおよそ200kmほどを走ることから、一見航続距離が不足しているように感じるが、搭載の発電機と燃料タンクを用いることにより、航続距離は約600kmにまで延びるので、ドライバーの仕事には十分な仕様となっている。バッテリーは、通常使用する22kWでの充電では45分で容量の60%まで充電することができる。これで100kmくらいは走ることができる。また50kWの急速充電用ソケットもついているため、これを用いればより早く充電することが可能である。 2017年12月にはTXがロンドンタクシー用車両として正式に認可され、2018年1月22日に最初のTXが営業運転を開始した。
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