横置きミッドシップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 14:17 UTC 版)
横置きミッドシップは、前輪駆動車用のトランスミッションとトランスアクスルを流用している限り重心が後車軸寄りとなり、車体中心に重心のある縦置きのような重量配分は得られない場合が多い。それゆえ、走行性能を重視するレーシングカーやスーパーカーの大半は、重心位置設定の自由度が高い縦置きミッドシップを採用している。 横置きミッドシップの例としては、フォーミュラマシンではホンダの最初のF1マシンであるRA271が、V型12気筒エンジンを横置きで搭載していた。「二輪車メーカーとしての経験から、横置き(二輪車の大半はエンジン横置き)のほうが設計しやすかったため」という説がある。ただし整備性に難があったことに加え、1966年にF1のレギュレーション変更でエンジン排気量が3リッターに拡大され、V12エンジンのサイズ的に横置きが困難となったことから、同年のRA273以降は縦置き配置に改められている。また日本独自のフォーミュラだったFL500などは、エンジン横置きFFの軽自動車のパワーユニットを使用している例が多く、やはり横置きエンジンが主流だった。 市販車においては、フェラーリは従来12気筒のフラッグシップは縦置き、下位モデルのV型6気筒とV型8気筒(206・246(V6)、308・328(V8)の各シリーズは横置きだった。しかし、後者に関してはモンディアルT及び348シリーズ以降、トランスミッションは横置きのままにエンジンとクラッチを縦置きに変更している(なお、スペシャルモデル以外での12気筒のミッドシップ車はF512Mを最後に途絶えている)。ランボルギーニでは、ミウラのみ横置きで、カウンタック以降は縦置きである。このほか、チゼータ・V16TもV型16気筒エンジンをミッドシップに横置きで搭載している(「T」はその配置(横置き = Transverse engine)に由来。ただしトランスミッションは縦置き)などが挙げられる。 中谷明彦は、横置きミッドシップでは「コーナリング特性はアンダーステアからオーバーステアへの変化が大きく、安定して走らせるのが難しい」「左右の重量バランスはアンバランスになってしまう」として、縦置きこそが「本物のミッドシップ」であって横置きを「廉価版」に過ぎないと主張し、横置きを開発するメーカーの姿勢を批判している。
※この「横置きミッドシップ」の解説は、「ミッドシップ」の解説の一部です。
「横置きミッドシップ」を含む「ミッドシップ」の記事については、「ミッドシップ」の概要を参照ください。
- 横置きミッドシップのページへのリンク