スピン-スピン緩和
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/01 00:35 UTC 版)
核磁気共鳴(NMR)や核磁気共鳴画像法(MRI)において、スピン-スピン緩和(スピン スピンかんわ、英: spin-spin relaxation)、または横緩和(よこかんわ)、T2緩和とは、磁化ベクトルの横軸成分 Mxy が指数関数的に減衰して平衡値である0になっていく過程のことである。この過程はスピン-スピン緩和時間または横緩和時間と呼ばれる時定数 T2 によって特徴づけられる。磁化ベクトルの緩和には、他にもスピン-格子緩和(縦緩和)がある(詳細は核磁気共鳴#緩和を参照)。
スピン-スピン緩和時間 T2 は、縦磁化ベクトルが静磁場に垂直な方向へと倒された直後の磁気共鳴信号:
が、37%(つまり1/e)まで小さくなるのにかかる時間である。
一般的に横緩和は、縦緩和よりも速く回復する。また異なるサンプルや異なる生物組織では異なる横緩和時間 T2 を持っている。たとえば、流体はプロトンよりも遥かに横緩和時間が長い。アモルファス固体はミリ秒オーダーの T2 を持つ一方、結晶固体ではおよそ1/20 ms程度である。
スピン-スピン緩和の測定
ハーンエコー減衰実験によって、以下のアニメーションの位相緩和時間の測定ができる。
参考文献
- Ray Freeman (1999). Spin Choreography: Basic Steps in High Resolution NMR. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-850481-8.
- Malcolm H. Levitt (2001). Spin Dynamics: Basics of Nuclear Magnetic Resonance. Wiley. ISBN 978-0-471-48922-1.
- Arthur Schweiger, Gunnar Jeschke (2001). Principles of Pulse Electron Paramagnetic Resonance. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-850634-8.
- McRobbie D., et al. MRI, From picture to proton. 2003
- Hashemi Ray, et al. MRI, The Basics 2ED. 2004.
関連項目
横緩和
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詳細は「スピン-スピン緩和」を参照 横緩和はスピン-スピン緩和とも言い、磁化ベクトルのx, y成分(横磁化)が0に復帰する緩和である。この過程には2種類の機構が存在する。1つはスピンの位相がそろった状態から位相がバラバラの状態になる機構である。この過程はランダム磁場のz成分によって各スピンのラーモア周波数が揺らぐことで起こる。もう1つは準位間の遷移によって横磁化が失われる機構である。この過程は縦緩和と同じくランダム磁場の中のx成分やy成分のラーモア周波数と一致する成分を拾って起こる。横緩和の時定数は T2 で表される。エントロピー的な要請から、T1 ≧ T2 となる。
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