構成とテキスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 00:35 UTC 版)
七十人訳聖書が含む文書数は、現存している旧約聖書ヘブライ語写本より多く、ヘブライ語写本と七十人訳で細部が異なる文書もある。キリスト教徒が七十人訳を典拠としたことから、1世紀末、ユダヤ教はヤムニア会議でヘブライ語写本をもたない文書を排除することを決定した。これが現在のマソラ写本の範囲を決定しており、このとき排除された文書をユダヤ教では外典という。 キリスト教でも旧約の厳密な範囲をヤムニア会議で確定された正典の範囲に限る神学者もある。一方、歴史的には中世まではキリスト教徒のもつ旧約聖書は七十人訳とほぼ同じであったとする説もあり、現在でもカトリックや東方教会ではそうである。七十人訳の文書の中には、前述の通り、近代に入ってヘブライ語やアラム語の写本が発見されたものもある。 マルティン・ルターは、旧約聖書の底本をヘブライ語およびアラム語写本をもつもの、すなわちマソラ本文にのみ取った。その影響にあるプロテスタント諸派では、七十人訳にのみ含まれる文書を旧約外典と呼び、聖書に含まれない文書とみなす。 プロテスタント正統主義、聖書信仰では、ヤムニア会議以前から旧約聖書に正典としての権威があったことを前提にしており、ユダヤのヤムニア会議に権威をおいていない。また、歴史的にも正典と外典の区別があったことを前提にしている。 近代に入ってから、現存の写本に基づいて学問的な七十人訳の校訂本を出版しようという試みがなされた。A. Rahlfsは限られた少数の写本を土台にしてSeptuaginta を1935年に出版し今もなお広く用いられている。これより少し遅れてドイツ語圏の学者たちを中心に、現存する大多数の写本、七十人訳の古代訳、古代の教会教父達による七十人訳の引用なども検討して、原七十人訳とでも称すべきものを学問的に再構成したものが出版されつつあるがまだ未完である。ドイツのゲッチンゲンにある七十人訳研究所の出版であるのでゲッチンゲン七十人訳として知られる。
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