林桜園とは? わかりやすく解説

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はやしおうえん 【林桜園】


林桜園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/24 23:33 UTC 版)

原道館跡の碑(熊本市千葉城公園内)

林 桜園(はやし おうえん、寛政10年(1798年) - 明治3年10月12日1870年11月5日))は、幕末思想家国学者教育者

来歴

1798年寛政10年)、肥後国熊本城下の山崎町(現・熊本市)に林又右衛門英通の第三子として生まれる。通称は藤次、実名は有通、桜園は号。別名に、通天、千葉城老人などがある[1]

はじめ藩立の時習館に学んだが、学風に満足せず自ら退学した。後、父と相談し国学者長瀬真幸に師事する。長瀬真幸は、肥後国学の独自の基礎を築いた高本紫溟の高弟の一人であり、帆足長秋の書籍を通じて本居宣長を知り、本居宣長の高弟ともなった人物で、その門下には林桜園のほか中島広足和田厳足らがいる[2]

1837年天保8年)、千葉城高屋敷(現・NHK熊本放送局の下の千葉城公園)に原道館(げんどうかん)を開く。多くの師弟が学び、その数は1400人以上に及んだと言われる。横井小楠佐々友房宮部鼎蔵吉田松陰[3]松田重助河上彦斎轟武兵衛太田黒伴雄加屋霽堅、上野堅五、斎藤求三郎、大村益次郎島義勇真木保臣らが学んだ[4]

1870年明治3年)、新開大神宮の近くにある太田黒伴雄の家にて没。生涯を独身で過ごした。1911年(明治44年)、贈正五位[5]。熊本県近代文化功労者。墓は熊本市黒髪の桜山神社にある[6]

思想

原道館の原道とは道の根源を探求するという意味であり、教育の柱は、敬神・愛国・皇室中心主義のいわゆる尊王攘夷の日本精神である。ただし授業は、古事記日本書紀万葉集源氏物語などの講義のほか、国学にとどまらず、儒学老子荘子仏教医学、西洋の思想にも及んだ。生徒個々の能力に合わせ、必要であれば西洋の教えを取り入れる柔軟なものであった[7]

門下より数多くの人材を輩出した。特に明治維新で活躍した肥後勤皇党、神風連の変を起こした敬神党などに大きな影響を与えた。

和歌

  • 世の中は唯何事もうちすてゝ 神を祈るぞまことなりける
  • いかばかりけふの別のをしからむ 散らぬ花咲く此の世なりせば
  • 誠心を君につくさば霊ちはふ 神そ守らん神そ護らむ

主な著書

  • 昇天秘説
  • 科戸風端書弁妄
  • 宇気比考
  • 桜園答書稿

出典

  1. ^ 熊本日日新聞社編『熊本人物鉱脈』熊本日日新聞社、1963年、3頁。
  2. ^ 鈴木喬編『熊本の人物』熊本日日新聞社、1982年、108頁。
  3. ^ 卯野木卯一良『肥後史話、最終判』肥後史普及会、1975年、209頁。
  4. ^ 熊本県教育委員会編『熊本県近代文化功労者』熊本県教育委員会、1981、219頁。
  5. ^ 田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』(近藤出版社、1975年)特旨贈位年表 p.29
  6. ^ 熊本県教育委員会『熊本の先覚者たち』秀巧社、1968年、11頁。
  7. ^ 加藤秀俊ほか編纂『人づくり風土記43熊本』農山漁村文化協会、1990、205頁

参考文献

  • 小早川秀雄『血史熊本敬神党』隆文館、1910年、6-16頁。
  • 福本日南『清教徒新風連』実業之日本社、1916年、341-364頁。
  • 石原醜男『神風連血涙史』大日社、1935年、7-14頁。
  • 渡辺京二『熊本県人』新人物往来社、1973年、147-151頁。
  • 荒木精之『巨人・林桜園』林桜園百十年記念顕彰会、1981年。
  • 熊本日日新聞社編纂『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社、1982年、667頁。
  • 熊本教育振興会編『肥後の人物ものがたり』熊本教育振興会、1988年、80-81頁。
  • 荒木精之『近代への叛逆 荒木精之著作集』熊本出版文化会館、1992年。

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