条例と法律の関係について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 14:14 UTC 版)
「徳島市公安条例事件」の記事における「条例と法律の関係について」の解説
憲法94条は、「地方公共団体は、(中略)法律の範囲内で条例を定めることができる。」と規定し、地方自治法14条1項において「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定し、条例が法令の範囲内のなかでのみ定めることができることを規定している。 しかし、いかなる条例が法令の範囲を逸脱しているのか具体的な基準が問題となる。特に、公害問題や建築規制における自治体におけるいわゆる上乗せ条例が建築基準法などとの関係でそうした条例が無効ではないかしばしば問題となる。 この点を判断するに当たり「両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。」と最高裁は判示している通り、単に条例が法の規定していない事項を規定していることから直ちに無効になるとか、あるいは、法の規定するより厳しい基準を条例が定めているからといって直ちに無効になるのではなく、問題となる法令と条例の両者の趣旨等に照らして具体的に判断する必要があることを明らかにしており、形式的な条文の比較によって判断すべきではないことを強調している。 その上で、本判決において、最高裁は3つの基準を立てた。 第一に、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうる。 第二に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によつて前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときは国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。 第三に、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。 本件では、第二、第三類型に該当するとされ、徳島市公安条例が道路交通法に違反しないとされた事例である。
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