暴動事件の考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 07:26 UTC 版)
以下に、日系移民側からみた暴行事件の考察を示す。 日系移民の都市部への集中 元々農村部に入植したはずの日系移民が、都市部に集まり、商工業を展開した。日本人経営の店がペルー人経営を圧迫しており、ペルー人の不満を蓄積させていた。 日系移民のペルー非同化 日系移民は同族意識が非常に強く、戦時体制をとりつつあった日本本国の動向に影響を受けて排他主義に自己正当化していった。戦前の日系移民は出稼ぎ程度の心持ちでペルーに来て、一財産ができたら日本に帰国したいと考えていたものが多かった。ペルー同化への拒否はペルー生まれの二世にも適用されていった。一世にあたる移民たちは子弟にも日本人として生きて行かせたいと考え、日本に就学のため帰国させた例が数多くあった。 ペルー国権の軽視 古屋事件で見たように、領事はペルーの主権を犯し、これがペルー当局が事件を傍観した遠因となった。この背景には、「ペルーは未開の野蛮国」、「法は有名無実で官僚や警察は不正が横行している」、「贈賄はペルーの習慣で犯罪でも恥でもない」というペルーを軽視した認識が領事や日系移民の中に根強くあった。 公使と領事の齟齬 ペルーのように日系移民が多く居住する国では、領事の重要性が高く、領事に大きな権限が与えられていた。しかし、それにより領事館に独立性を持たせ、公使館と対立関係に陥る危険性は以前よりあった。公使と領事の関係が正常であれば排日感情を少しでも収める方策の実施が可能であったし、そもそも古屋事件を回避できたのではないか、もし古屋事件を回避できればこの暴動は起きなかったのではないかという指摘もなされている。
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