星状細胞腫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 03:01 UTC 版)
WHOは星状細胞腫を組織学的な特徴に基づき4段階に悪性度を分類している。グレードIに毛様細胞性星状細胞腫、上衣下巨細胞性星状細胞腫、グレードIIにびまん性星状細胞腫、グレードIIIに退形成性星状細胞腫、グレードIVに膠芽腫が分類されている。Ste.Anne/Mayoの基準では、核の多形性、核分裂像、微小血管増生、壊死の4つの所見の有無によってgradeを決定している。またKi-67/MIB-1陽性率などは細胞増殖の指標として用いられる。 毛様細胞性星状細胞腫 若年者、特に幼児の小脳に発生することが多い良性腫瘍である。毛様の細長い突起を伸ばす腫瘍細胞が充実性の領域と浮腫を伴う海綿状の領域をつくる。充実性の領域にはエオジン好性のRosenthal fiberが認められる。 脳室上衣下巨細胞性星状細胞腫 結節性硬化症に随伴する脳室内腫瘍である。肥胖性星細胞に似た大型腫瘍細胞がと小型紡錘形細胞も介在し血管に富んだ構造となる。 びまん性星細胞腫 30歳から50歳の男性に多く発生する。光顕所見では原線維性星細胞腫と原形質性細胞腫に分けられる。原線維性星細胞腫では細胞は楕円形核と好酸性細胞質をもち、多極性の突起を伸ばす腫瘍細胞がびまん性に増殖する。原形質性細胞腫は異型の弱い類円形核と狭い細胞質をもち脆弱な短突起を伸ばす腫瘍細胞からなる腫瘍である。 退形成性星細胞腫 50歳〜60歳の男性に多い。グレードIIの星細胞腫とくらべて細胞密度の増加、核異型、核細胞分裂像が顕著になっていることが特徴となる。 膠芽腫 原発性脳腫瘍の11%をしめ、60〜64歳にピークがある。より低悪性度の星細胞腫から多段階発癌の結果起こる二次性膠芽腫と原発性膠芽腫がある。ほとんどが原発性膠芽腫である。細胞密度は高く、細胞は小型類円形から多角形、さらに多核巨細胞などの形態を示す。核クロマチンは豊富で核分裂がいたるところでみられる。腫瘍細胞の配列は血管周囲性偽ロゼット、壊死巣を囲む偽柵状配列、血管内皮細胞の反応性増殖や腎糸球体係蹄様構造の形成が認められる。 大脳膠腫症 少なくとも3つの脳葉にわたる連続性の広範な浸潤を示し、テント下や時に脊髄にまでおよぶグリア系腫瘍である。長楕円形の核と狭い細胞質を持つ紡錐形細胞が既存の繊維構造に沿って浸潤性に増殖する。
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