日本の地層処分研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 01:19 UTC 版)
日本では、地震や火山噴火等に耐える強固な施設でなくてはならず、地下水にも汚染がないよう地下300mの箇所に多重バリアを引いて処理する手法が提示されているが、場所の選定からして大変であり、候補地の目途すら立たない状況にある。地層処分#施設検討・応募状況も参照。 岐阜県瑞浪市のJAEA瑞浪超深地層研究所では2007年11月現在、将来の高レベル放射性廃棄物の処分地を決める上で必要となる技術を研究するために、地下深く縦穴(立坑)を掘っている。2本の1,000mの穴を掘り、100m毎に地下水の動きや地震の影響を記録する装置を設置する予定である。北海道幌延町でもJAEAにより同様の施設の建設が進んでいる。 地層処分施設およびその周辺の管理期間に関して原子力委員会は1998年(平成10年)の報告の中で、にウラン鉱脈を持つカナダではガラス固化体は「一万年後にはウラン鉱と同レベルの放射能になる」、「地中のウラン鉱脈が地表に影響を与えていない」等から、当時は一万年を管理期間としていたことから日本もそれに習い一万年を管理期間とするよう勧告していた。 アメリカ合衆国でもネバダ州(人口密度は北海道の1/7)のユッカマウンテンに計画されていた地層処分施設の管理期間を当初一万年としていたが、2009年には管理期間を百万年に変更した。ヨーロッパ各国では地層処分施設の管理期間を十万年としている。 ガラス固化体一本(直径約40cm、高さ約130cm)の放射能は約4x1015ベクレルで、1万年後に1/2000の約2x1012ベクレル、10万年後に1/6000の約7x1011ベクレル、100万年後に1万分の1の約3.5x1011ベクレル。(注意:記述の放射能の減衰の数値は原典のグラフを目測したもので正確な数値ではない。) 高レベル放射性廃棄物は1996年3月時点でガラス固化体に換算して1万2千本相当が溜まっており、2030年には7万本相当になると試算されており地層処分施設では5.6〜7km2の用地を必要と見積もられている。 2009年時点ではガラス固化体1692本と処理待ちの380立方メートルの高レベル放射性廃液の在庫があった。 ガラス固化後の高レベル放射性廃棄物がウラン鉱石と同じ放射能レベルになるには長期間かかる。長寿命核種の分離変換(群分離・消滅処理)の技術が確立したのち実施をすればこれが数百年以下に短縮されるが、地層処分の必要性を変えるものではないと考えられている。
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