日本におけるRDFの現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 02:30 UTC 版)
「廃棄物固形燃料」の記事における「日本におけるRDFの現状」の解説
廃棄物固形燃料の日本での利用は立ち遅れていたものの、1990年代後半から、廃棄物埋立場の処理能力の限界に悩む地方自治体のゴミ減量の切り札の1つとして注目を浴びた。そこで、RDF製造プラントの輸入が行われたり、日本の企業によるRDF製造プラントなどの売り込みが活発化し、一部の自治体では可燃ゴミの処理方法として、RDFの製造が導入された。 同じ頃、日本では焼却炉で発生するダイオキシンの問題が顕在化した。RDFはゴミを燃やすということで施設周辺の住民による反対運動が起き、そのためにRDF導入が中止に追い込まれた自治体も出た。それでも、1997年にはダイオキシン対策のために廃棄物焼却炉の規制が強化され、ダイオキシンの発生を防ぐため、焼却炉を大規模化し、より高温での焼却を行うように求められた。この規制に準じた規模の焼却炉を作れない地方自治体に対しては国が補助を行うことが決まり、これを使って2006年度までに88市町村が50のRDF化施設を作った。これには建設費として合計約1988億円が投じられており、そのうち国庫からの補助金は約584億円に及んだ。 ただ、原料を一般家庭に頼ったRDFは、均質になり難い上に、しばしば粗悪なRDFしか製造できないプラントが使用された結果、RDFを燃料として使用した際に、燃焼温度を安定させるために重油などが必要なケースが出た。また、原料に石灰も使ったRDFの場合には、RDFの灰に大量の石灰が残され、産業廃棄物の処理費として多額の費用を要した。2010年時点で、従来のゴミの焼却処理と比べて、RDFとして処理すると倍以上の費用が必要で、RDFを導入した自治体の財政に負担をかけた。さらに、せっかく作ったRDFも、品質が低いなどの理由で利用量が伸びず、在庫を大量に抱えた自治体も出た。このため、2010年時点で、先述の50施設のうち26施設は、わざわざ代金を支払って、製造したRDFその物を、産業廃棄物として処分していた事が、会計検査院の調査で判明した。 このような状況に、2005年以降は、日本国内で新設されたRDF製造施設は、数箇所に留まった。しかし、中には2015年に新たに稼働した北海道倶知安町のように、過去の失敗事例を踏まえても、なお新規参入する自治体も出た。倶知安町の場合は、ゴミ焼却炉の新設が難しいため、RDF化に着目しての導入決定で、15年間のRDF施設の維持管理費や補修費を加えても、高騰する焼却処理費用に比べて6割のコストで済むと計算している。なお、環境省では、単なるゴミ焼却発電の発電効率が平均12パーセントに対して、RDFを利用すれ28パーセントを達成できるとの試算を行い、廃棄物処理の選択肢の1つとして有効としている。
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