日本での提唱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 16:39 UTC 版)
「ブラッドタイプ・ハラスメント」の記事における「日本での提唱」の解説
1994年、当時福島大学の助教授(後に立命館大学教授)であった心理学者のサトウタツヤ(佐藤達哉)は、少数派の集団の方が評価が低いという2個の研究を元にして、このことが日本での血液型の小集団であるAB型の人々の印象が悪かった調査結果の原因だと考え、不当な評価が行われる小集団のAB型の人々は苦痛になっている可能性が高い、とした。このことは、血液型と性格に関係があるかどうかということではない。単に人数的に少数というだけで、セクシャルハラスメントのような嫌がらせを受けることにつながるため、ブラッドタイプ・ハラスメントという用語を作り『現代のエスプリ』で発表した。加害者は、多数派の血液型であることが想像されるとし、血液型を話題にすることで、ある一部の人に心理的な苦痛を味わわせている、とした。 心理学者の菊池聡は、1997年に思想雑誌『望星』でこの考えを紹介し、B型やAB型は、わがまま、自己中、二重人格とよくないイメージで表現され、これは人口比が少ないことと関係があり、こうした人が血液型の話題を持ち出された時の嫌な思いは、多数派にはなかなか理解できないとしている。菊池聡は1998年に文化雑誌『月間百科』でも佐藤によるAB型の評価の研究を紹介しながら、特にAB型によくない評価が集中する少数派差別の構造的な差別性に言及し、ブラッドタイプ・ハラスメントという言葉で取り上げられていると紹介する、また講義でこのように紹介していくと最後に学生が「ところで先生の血液型は?」と質問するので心理学者の戦いは続く、と結んでいる。 サトウの1992年の論文「血液型性格関連説がなぜ日常生活に欠かせない話題として定着しているのかを考察するために」や大村政男の著作のように血液型論が持続する原因を考察した場合、血液型についての非科学的な考えだが人間関係の構築を促す側面があるため役立つ面が多く、そのため受け入れられている状況が続いているとしている。血液型論の批判者にとっても、肯定的にとらえた場合には人間関係構築という利点が見出され、否定的にとらえた場合にはハラスメントや差別を生み出されるものとなる。話題として喚起することで「サトウがブラッドタイプハラスメントという少数者差別を作り出している」と批判を受けたこともある。
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