文科省の判断と各教委の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 22:39 UTC 版)
「八重山教科書問題」の記事における「文科省の判断と各教委の対応」の解説
2011年9月18日に文部科学省は、全教育委員による協議での「9月8日の逆転不採択」は、「3教委の合意のないまま行われている」「同全委員協議について玉津博克石垣市教育長、崎原用能与那国町教育長から無効とする異議を申し立てる文書が出ている」の2点をあげて法的拘束力はないと判断した。文部科学省は「8月23日の教科書選定」は規則に則っており法的拘束力があるとして、八重山地区での育鵬社版の採択を求めた。2011年10月26日、文部科学省は教科書無償措置法により、協議会の答申に従って育鵬社版の採択をした石垣市と与那国町については国の無償給付対象となるが、東京書籍版を採択した竹富町について国の無償給付対象にならないと明言した。教科書無償措置法では「採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならない」とあるが、同じ地区で同一の教科書を使う理由として「教師にとって広域で学習指導の共同研究がしやすいこと」「子供が近隣市町村に転校しても教科書が変わらないこと」「教科書の供給が効率的で費用が節約できること」などが理由にあげられている。一方で地方教育行政法で教科書採択権は個々の教育委員会に認めているため、文部科学省は竹富町が自費で東京書籍版を購入することは認めることとなった。 文部科学省が3市町で使用する公民教科書の需要冊数を報告するよう求めた2011年9月16日までに県教委は3市町で公民教科書が一本化できていないとして、需要冊数を報告しなかった。11月28日に県教委は3市町教委に改めて公民教科書の需要冊数を報告するよう求める通知文を送っていたが、通知文には「9月8日の全教育委員による協議」が有効とする見解が添付されており、石垣市教委と与那国町教委に対して東京書籍版に統一して需要冊数を報告することを暗に求めていた。県教委に対抗するため、石垣市教委と与那国町教委は文部科学省に直接「情報提供」という形で育鵬社版の需要冊数を直接報告し、さらに「県教委から文部科学省に届いているかどうか懸念される」旨の文書を添付した。 2011年12月26日に竹富町教委は東京書籍版の採択を改めて確認し、東京書籍版の国庫による無償給付を求め町として予算計上しない考えを示した。このままでは生徒が教科書代を負担する可能性も浮上する中、2012年2月22日竹富町教委は篤志家の支援を受けて現物寄贈を受け付ける考えを示した。対象となる生徒は22人で東京書籍版は1冊736円の為、購入に必要な金額は約1万6000円で、次の教科書採択までの4年間に約10万円の負担となる計算だった。1963年の施行以降で教科書無償措置法に反する自治体が出るのは初めてであった。
※この「文科省の判断と各教委の対応」の解説は、「八重山教科書問題」の解説の一部です。
「文科省の判断と各教委の対応」を含む「八重山教科書問題」の記事については、「八重山教科書問題」の概要を参照ください。
- 文科省の判断と各教委の対応のページへのリンク