教育現場における着衣水泳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 02:26 UTC 版)
「着衣水泳」の記事における「教育現場における着衣水泳」の解説
運河の多いオランダやイギリス、オーストラリアなどでは、護身術としての着衣水泳の教育が、競泳よりも重視されている。特にオランダでは、子供が小学校に入学する5歳ごろからスイミングスクールに通わせて、運河に落ちた場合を想定した着衣水泳を習得させる保護者が多い。 それに対して日本は、溺死率がイギリスの約9倍と、欧米諸国に比べて高いことが指摘されており、教育現場での水泳の授業が競泳重視であることが原因ではないかと言われている。 埼玉大学の野沢巌は、キャンプで小学生が川で流される事故を契機に水中における自己保全能力の研究をすすめ、1980年から小学校教員養成課程の水泳の授業に着衣状態の水泳を取り入れ、以降内容を改良しながら毎年実施してきた。 1993年(平成5年)に文部省(当時)が発行した『水泳指導の手引き』において、「学校の諸条件が許せば、児童生徒に着衣したままでの水泳を体験させることは有意義なこと」とし、これにより着衣水泳の学校教育への導入が公的に認められた。 着衣水泳の指導は、河川や湖などでの落水あるいは船の遭難の際に用いる護身術の習得を目指し、泳いで岸までたどり着くか、浮くことで救助隊が到着するまで生き延びる技術の習得を目的とする。ペットボトルや鞄、ビニール袋(ゴミ袋やレジ袋)などを膨らませて、浮き袋の代用品として使用することがある。 教育として行われる着衣水泳には、水泳指導の一部として「要救助者にならないための水中の諸技能を獲得することを目的とする着衣水泳」と、災害対策として「要救助者が安全に救助されることを目的とする着衣水泳」がある。前者は溺れないための基礎水泳技能習得やウォーターセーフティー教育の一環として、後者は水難被災時のシミュレーションとして実施されている。 ※学校管理下における水難教育概要と事故事例を参照
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