振付の記録・舞踊譜
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ヴァレリー・サットン ポーズをとるダンサーのヴァレリー・サットン。右はサットンの開発したダンスライティングによるこのポーズの記譜法 スペインのダンスであるカチューチャの動きを記録した舞踊記譜 振付は、ダンスを振付創作したダンサー・振付師から他のダンサーたちへ、口伝や手取り足取りの指導、あるいは見よう見まねで伝えられる。世界中で古くから伝えられている舞踊・ダンスは、こうして年長者から次世代へ代々伝わってきた。しかしフランスやイタリアなど西洋で舞踏会が盛んになり、ダンスの複雑化やダンスの教養化が起こった17世紀以降、ダンスを紙に記録し印刷物などで普及させる試みが始まる。 バレエやコンテンポラリー・ダンスなど西洋の舞台芸術ではこの時以来、音楽を楽譜に写すように、ダンスの振付を抽象化し、シンボル的動作、回数、ステップの踏み方などの要素に分解し紙面に記録するダンス・ノーテーション(Dance notation、舞踊記譜法)を発達させてきた。 これは記録のみならず、ダンス教育や練習、ダンス研究などに利用されている。たとえば有名ダンサーのダンスを記録し後世に舞踊譜として振付を残すことで、後の時代の人々がこれに基づいてダンスを再現したり練習材料にしたり新たな振付の参考にしたり、研究者が過去のダンサーや振付師たちの研究・分析・批評に使うなどしてきた。 また舞踊譜は民族舞踊の記録など、文化人類学の世界でも利用されている(舞踊民族学)。日本でも明治以来、長年にわたり日本舞踊各流派の踊りや各地方の踊りを舞踊譜に記録することが、各流派の人々や舞踊研究者の間で行われてきた。 現代の西洋の主なダンス・ノーテーションには、20世紀に入り確立した ベネッシュノーテーション(Benesh Movement Notation、ベネッシュ式記譜法) ラバノーテーション(Labanotation、Kinetography Laban、ラバン式記譜法) ダンスライティング(DanceWriting) Eshkol-Wachman Movement Notation などがある。日本では、各流派や研究者による独自の採譜法がいろいろあるほか、東京文化財研究所が五線譜のような「標準日本舞踊譜」をまとめているが、読むのが難しい上同じ演目でも実は流派ごとの踊り方の違いがあるなどの理由からあまり普及していない。 映像機器などの発達後、振付の記録や教育は写真や映画、ビデオなどでも行われ、モーションキャプチャーによる記録も行われている。
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