振付と舞台装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 01:42 UTC 版)
本作の振付はジャン=ルイ・オメール(フランス語版)が行った。永井玉藻は「第1幕に2曲(ワラチャとボレロ)、第3幕に1曲(タランテラ)のダンスシーンがあるほかに、全曲を通じてパントマイムが極めて重要な役割を果たしている。-中略-彼女の意思表示は身振り手振りに限定されているのである。フェネッラは他の登場人物たちとは「パントマイム」を通じて対話する。作中でフェネッラがパントマイムで示す内容は、同意や拒否などの単純なものから、彼女が投獄されるに至った経緯の説明などのようにかなり複雑なものもある」。さらに具体例としては「エルヴィールがフェネッラにかつてあなたを酷い目に合せた男は誰なのかと問いかける。-中略-エルヴィールの〈それで犯人は?〉との問いかけに対し、フェネッラは16分音符と全音符による同音連打のリズムと共にアルフォンスを指し示す。この音型は続くエルヴィールの歌詞「彼ですって!」と同じであり、さらに、もう一度、直後に同じ音型が1オクターヴ下で奏される。これにより、あたかもフェネッラが「彼です」と口に出して告発したような印象を与えることができる。このような音楽の用い方は当時のバレエ音楽に極めて特徴的である」と指摘している。フェネッラの役は マリー・タリオーニ 、ファニー・エルスラー、 ポリーヌ・ルルー(英語版)などのダンサーや女優のハリエット・スミスソンなどによって演じられた。また、この作品の上演に際しては、従来ソリストの歌手たちの演技に関与しせず、後方で歌っていた合唱団に動きが与えられたことが画期的だった。オベールとスクリーブは地方色を際立たせるために、舞曲のリズムを多用し、ナポリを表すタランテラをダンサーに踊らせた。さらに、オペラ座の「舞台装置は他の劇場とは比べものにならないほど、豪華絢爛で、大掛かりな仕掛けに驚かされ、歴史の絵物語の中に自分が入って行くような感覚を覚えるほどである。こうした重厚で、センセーショナルな、強力な歌の世界に観衆は驚喜、感激したのである」ということである。
※この「振付と舞台装置」の解説は、「ポルティチの唖娘」の解説の一部です。
「振付と舞台装置」を含む「ポルティチの唖娘」の記事については、「ポルティチの唖娘」の概要を参照ください。
- 振付と舞台装置のページへのリンク