指数移動平均とは? わかりやすく解説

指数移動平均

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/01 01:55 UTC 版)

移動平均」の記事における「指数移動平均」の解説

指数移動平均(英: Exponential Moving Average; EMA) では、指数関数的に重み減少させる指数加重移動平均 (英: Exponentially Weighted Moving Average; EWMA)、指数平滑移動平均 (英: Exponentially Smoothed Moving Average) とも呼ばれる重み指数関数的に減少するので、最近データ重視するとともに古いデータを完全には切り捨てない(重みは完全にゼロにはならない)。右図は、重み減少する様子表したのである。なお、EMA移動平均とは呼べいとする立場もあり、その場合は指数平滑平均 (英: Exponential Average) と呼ぶ。 重み減少度合い平滑化係数呼ばれる 0 と 1 との間の値をとる定数 α で決定される。α は百分率表現されることもあり、平滑化係数10% というのは α=0.1 と同じことを表している。αを時系列区間 N で表すこともあり、その場合は α = 2 N + 1 {\displaystyle \alpha ={2 \over {N+1}}} となる。例えば、N=19 なら α=0.1 となる。重み半減期重み0.5以下となる期間)は、約 N/2.8854 である(N>5 のとき1%精度で)。 時系列上のある時点 t の値を Yt表し、ある時点 t での EMASt で表す。S1定義しない。S2 の値をどう設定するかにはいくつの手法があり、S2 の値を Y1 とすることが多いが、S2 を時系列上の最初4つ5つデータ平均とすることもある。α が小さ場合、S2 をどう設定するかは比較的重要であるが、αが大き場合は(古い値の重み小さくなるので)重要ではない。 t≧3 の場合EMA計算式次のとおりである。 S t = α × Y t − 1 + ( 1 − α ) × S t − 1 {\displaystyle S_{t}=\alpha \times Y_{t-1}+(1-\alpha )\times S_{t-1}} この計算式Hunter (1986)によるものである。各データ重みは、 α ( 1 − α ) x Y t − ( x + 1 ) {\displaystyle \alpha (1-\alpha )^{x}Y_{t-(x+1)}} になる。Roberts (1959) では Yt-1 の代わりに Yt使っていた。 この式をテクニカル分析の用語を使って表すと次のうになる。用語が異なるだけで同じ式である EMA t o d a y = EMA y e s t e r d a y + α × ( price t o d a yEMA y e s t e r d a y ) {\displaystyle {\text{EMA}}_{\mathrm {today} }={\text{EMA}}_{\mathrm {yesterday} }+\alpha \times ({\text{price}}_{\mathrm {today} }-{\text{EMA}}_{\mathrm {yesterday} })} この式で EMA y e s t e r d a y {\displaystyle {\text{EMA}}_{\mathrm {yesterday} }} を展開すると次式のようなべき級数となり、各時点価格 p1, p2, …… が指数関数的に重み付けされている。 EMA M = α × ( p M + ( 1 − α ) p M − 1 + ( 1 − α ) 2 p M2 + ⋯ ) {\displaystyle {\text{EMA}}_{M}=\alpha \times \left(p_{M}+(1-\alpha )p_{M-1}+(1-\alpha )^{2}p_{M-2}+\cdots \right)} 理論上これは総和であるが、1-α が 1より小さいので、項はどんどん小さくなって、ある項から先は無視できる大きさになる。 N 日間EMA といった場合の N は単に係数αを示すに過ぎず実際計算は N 日間データだけでは済まない。ただし、直近の N 日間データEMA において 86 %の重みをもつ。証明: α × ( 1 + ( 1 − α ) + ( 1 − α ) 2 + ⋯ + ( 1 − α ) N ) α × ( 1 + ( 1 − α ) + ( 1 − α ) 2 + ⋯ + ( 1 − α ) ∞ ) = 1 − ( 1 − 2 N + 1 ) N + 1 {\displaystyle {{\alpha \times \left(1+(1-\alpha )+(1-\alpha )^{2}+\cdots +(1-\alpha )^{N}\right)} \over {\alpha \times \left(1+(1-\alpha )+(1-\alpha )^{2}+\cdots +(1-\alpha )^{\infty }\right)}}=1-{\left(1-{2 \over N+1}\right)}^{N+1}} (左辺分母は1であり、分子等比数列の和右辺の形になる。)この極限値は、 lim N → ∞ [ 1 − ( 1 − 2 N + 1 ) N + 1 ] {\displaystyle \lim _{N\to \infty }\left[1-\left(1-{2 \over N+1}\right)^{N+1}\right]} = 1-e-2 ≒ 0.8647 になる(e はネイピア数)。 実際には、上のべき級数の式を使って最初ある日までの EMA計算し、その翌日以降最初のほうで示した式を使えばよい。 初期値問題に戻る。古いデータ極めて大きな値があった場合、たとえその重み小さくて全体には大きな影響与える。そういう場合には、価格変動それほど大きくない仮定できるなら、重みだけを考慮してある項目数 k までで計算打ち切ればよい。このとき、省略される項の重みは α × ( ( 1 − α ) k + ( 1 − α ) k + 1 + ( 1 − α ) k + 2 + ⋯ ) {\displaystyle \alpha \times \left((1-\alpha )^{k}+(1-\alpha )^{k+1}+(1-\alpha )^{k+2}+\cdots \right)} = α × ( 1 − α ) k × ( 1 + ( 1 − α ) + ( 1 − α ) 2 + ⋯ ) {\displaystyle =\alpha \times (1-\alpha )^{k}\times \left(1+(1-\alpha )+(1-\alpha )^{2}+\cdots \right)} = ( 1 − α ) k {\displaystyle =(1-\alpha )^{k}} となる。すなわち、全体重み 1 に対して ( 1 − α ) k {\displaystyle (1-\alpha )^{k}} に相当する部分省略されることになる。 例えば、99.9 %の重み精度)で計算した場合には、計算する項目数を k = log ⁡ ( 0.001 ) log ⁡ ( 1 − α ) {\displaystyle k={\log(0.001) \over \log(1-\alpha )}} とすればよい。 log ( 1 − α ) {\displaystyle \log \,(1-\alpha )} は N が増えるに従って − α = − 2 N + 1 {\displaystyle -\alpha ={-2 \over {N+1}}} に近づいていくから、N が大きいときは k = 3.45 ( N + 1 ) {\displaystyle k=3.45(N+1)} とすればほぼ 99.9% の精度となる。 なお、 α = 2 N + 1 {\displaystyle \alpha ={2 \over {N+1}}} ではなく α = 1 N {\displaystyle \alpha ={1 \over {N}}} とする EMA もある(次節)。

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