テクニカル指標一覧とは? わかりやすく解説

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テクニカル指標一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/09 00:42 UTC 版)

テクニカル指標(テクニカルしひょう)とは、テクニカル分析で用いられる指標である。以下ではその種類と各論について解説する。

テクニカル指標の概要

過去のチャートから次の値動きの目安になる情報を抽出するための計算アルゴリズムである。トレンド・偏差・最高価格からの比率・市場心理等様々な観点から指標が作成されて発表されている。 本来、値動きとは人間の意識が絡む偶発的かつ非常に複雑な現象であるため、常に正しいシグナルを出すテクニカル指標は存在しない。特定の集団が価格操作の目的で意図的に巨額の購入や売却を行った場合や短期間に暴騰・暴落が起きる場合では、テクニカル指標自体が無効になることもあり得る。つまり、どのテクニカル指標も不連続な動きに対して弱い傾向にある。

デジタル信号処理の観点からはほぼ全ての指標がFIRフィルタに分類される。リアルタイムなFIRフィルタではノイズを減らせば遅延は大きくなり、遅延を減らせばノイズが多くなる事が知られている。ノイズは騙しであり、遅延は判断の遅れに繋がるため、複数の指標を組み合わせて確率的な観点から判断を行うべきである。

指標の系統

テクニカル指標には2つの系統が存在する。

  • トレンド系指標(順張り系指標) - トレンドの方向性を判定する。移動平均から派生した物など。
  • オシレーター系指標(逆張り系指標) - 過去の値動きから、今の価格が高い位置にいるのか安い位置にいるのかを判定する。トレンドの転換点を判定する。パーセント「%」で表示する物が多い。

トレンド系でもオシレーター系でも、順張り投資・逆張り投資の両方に使われる。いずれの指標も単体での活用はだまし(ダマシ)に遭うことが多いため、トレンド系とオシレーター系の指標をうまく組み合わせ、さらに複数の時間足を参照して、トレンド分析をした上で有効に活用すべきとされている。

オシレーター系の指標は正確な出来高が確認できない為替相場などにおいては出来高の推移を代用するツールとしても活用されている。そのパーセント「%」の数値の大小で「買われすぎ」「売られすぎ」を判別するのは基本だが、それに加えて、価格と出来高の逆行現象と同じように「価格とオシレーター系指標の逆行現象(ダイバージェンス)から相場の反転を予想する」という機能も期待されている。

シグナル

指標自体のトレンドの方向性を判定するため、指標の移動平均をとったものをシグナルと呼ぶ。「指標 > シグナル」ならば、指標自体は「上げトレンド」である。例えば、MACDのシグナルがMACDシグナルである。ストキャスティクスの%Dのシグナルは、Slow%Dと呼ぶ。

指標の指標

シグナルを一般化し、指標自体のトレンドの方向性を判定するため、指標の指標をとることができる。シグナル以外では、RSIのストキャスティクスであるストキャスティクスRSIなど。

移動平均線

移動平均線とは、過去の一定期間の終値を平均してつないだ線のことである。移動平均線には、短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均縁があり、トレードの世界では、それら3本の線を表示して使うことが多い。

分析では、移動平均の値

過去の株価(上)をMACD(12,26,9)でプロットした例(下)。上の桃線が12日指数平滑移動平均(EMA)、黒線が26日EMAである。下の青線はMACDであり、上記の12日間EMAと26日間EMAの差分を示す。赤線はMACDの9日間のEMAである。棒グラフは青線と赤線の差分である。

考案者はジェラルド・アペル (Gerald Appel)。1960年代に発表。「Technical Analysis: Power Tools For The Active Investors」(ISBN 0131479024)、「アペル流テクニカル売買のコツ」(ISBN 4775970690)で利用法が紹介されている。

算出方法は

MACD = 短期(x日)の指数移動平均 - 長期(y日)の指数移動平均
MACDシグナル = MACDのz日の指数移動平均

x, y, z の組み合わせとしては、12, 26, 9 が使われることが多い。上記のようにもっぱら日足で説明されるが、時間足や分足でも式は同じである。MACDシグナルは、MACDの単純移動平均が使われることもある。

「MACD > MACDシグナル」なら上げトレンド、「MACD < MACDシグナル」 なら下げトレンドを意味する。

MACDがシグナルを上抜けるとゴールデンクロス(買いシグナル)、MACDがシグナルを下抜けるとデッドクロス(売りシグナル)といえる。[1]

ただしそれだけでは利益損失比が1:1を割り込むケースが多いため、レンジ相場では使用しない・大局的に優位性のあるトレンド方向へのみ売買するといった制限が課せられ、他の指標と組み合わせて活用される。

詳細は「MACD」を参照。

DMI

DMIは、「 +DI」,「 -DI 」、「ADX」という3本の線を利用してトレンドの発生を調べるトレンド系のテクニカル指標である。

英語では、「Directional Movement Index。Average Directional Movement Index 」と言う。日本語訳は、「方向性指数」と呼ばれる。 「+DI」の線は上昇トレンドの強さ(買い手の強さ)、「 -DI 」の線は下降トレンドの強さ(売り手の強さ)、ADX」の線はトレンドの総合的な強さと方向性を表す。

ADXAverage Directional Index の略。DI は Directional Indicator の略。

考案者はJ・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア (J. Welles Wilder, Jr.)。1978年に「New Concepts in Technical Trading Systems」(ISBN 0894590278) にて発表。本書の和訳は、「ワイルダーのテクニカル分析入門」(ISBN 4939103633)。

定義

定義は以下の通り。

DMの定義。擬似コードを含む。+DM も -DMも0以上の実数。
HighMove = 高値 - 前日高値
LowMove = 前日安値 - 安値
if (HighMove > LowMove && HighMove > 0) { +DM = HighMove; } else { +DM = 0; }
if (HighMove < LowMove && LowMove > 0) { -DM = LowMove; } else { -DM = 0; }
True Range, Average True Rangeの定義。TRとATRは0以上の実数。
TR = max(高値 - 安値, 高値 - 前日終値, 前日終値 - 安値)
ATR = TR の移動平均
DIの定義
+DI = +DM の移動平均 / ATR * 100
-DI = -DM の移動平均 / ATR * 100
DX, ADXの定義



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